100年ライフプラン

生前贈与の相続税対象期間が7年に延長へ(これってネガティブなことなのか?)

2023年1月9日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

2023年度の税制改正大綱で
生前贈与(暦年贈与)について、
重要な改正が決定されました。

 

元来、
被相続人が亡くなる直前に贈与を実施して
「相続税」の軽減を図ることを防ぐため、

相続開始3年前(= 本人死亡の3年前)以内の贈与については、相続財産に加算して、相続税を課税する事とされてきました。

これを「持ち戻し」と云います。

このルールの詳細が、65年ぶりに改正されます。

 

 

 

 

『具体例』を挙げてみましょう。

父親が、
自身が亡くなるまでの10年間、
娘に毎年110万円を生前贈与していたケース。

(生前贈与は、年間110万円までは「非課税枠」として贈与税がかかりません。)

 

 

これまでは
計1100万円の贈与財産のうち、
死亡前の3年分、すなわち330万円分が相続財産に加算されていました。

 

これが改正後は?

 

死亡前の7年分について、
770万円分が『相続財産』に加算されることになります。

 

上記文章だけを見ると、
「なんだ増税じゃん・・」と思ってしまいますが、わたしの見方は異なります。

 

 

「生前贈与の相続税対象期間を7年に延長。」
という改正の言外には、
生前贈与(暦年贈与)のしくみ、
制度の中身は(ずっと)存続させるよ。という、枠外のメッセージが隠されているのです。

 

 

 

 

さらに言えば、
課税当局からの、

 

本人死亡時に『相続税』の重税感を回避したければ、
早くからルールに則って、計画的に生前贈与していきなさい。
というメッセージすら伝わってきます。

 

 

これまで親や祖父母の財産を、
本人が生きているときに「当て」にするなんて、ちょっと品のない事と見なされてきました。

 

受け継ぐ財産が(もしも)あれば、
それは親や祖父母が亡くなったときに「有り難く」引き継げばよい。

そういう『捉え方』を期待されていたのです。

 

 

でも、それってもう機能しません。

 

 

 

あなたが62歳で、
親御さんが89歳で、
まだまだ親御さんはお元気という『家庭』は決して少なくありません。

 

世代を超えた資産の引き継ぎにおいて、
もはや「死後」はトレンドではなく、
「生前」にこそ、
計画的に(少しずつ)行われるべき事なのです。

 

 

 

 

 

資産を渡す人にも、
相続税の負担を軽減させるという『メリット』があります。

資産を引き継ぐ人にも、
40代、50代で本当に資金ニーズが旺盛なときに、お金を利用させてもらえる『メリット』があります。

 

 

当クリニックの相談事例では、
70代の親御さんがお子さんに年間120万円の生前贈与を行って、
(きちんと振込みを行うという形で。)

贈与税の申告を行い、
贈与税を1万円納めている方もおられます。

 

そうやってしっかり『贈与の証拠』を残しつつ、

 

やはりカギを握っているのは「親御さん」のほうなのです。

 

??


暦年贈与は、フローの資金の連続的な受渡しであり、
渡すほうが「必要なし。」と感じれば、いつでも休止できるもの。

 

 

しっかり生前贈与を行いつつも、

 

「ちゃんと親を大事にしなさいよ」
「ちゃんと孫の顔を見せにきなさいよ」
「ちゃんと家族みんな仲良くしなさいよ」という無言のメッセージが、
この贈与の中には含まれています。
※親子間の、あるいは祖父母・孫間の、適度な「緊張関係」を保つポイントに、生前贈与がなっているのです。

 

 

 

 

 

最後に、個人的には、
生前贈与は現行制度を維持するばかりでなく、
贈与税の「非課税枠」を思い切って500万円程度(年間)に引き上げるべきと考えます。

 

世代間の富の偏在を減らし、
お金がもっと世の中に巡るようにすることが必須と考えるためです。

 

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