金融機関にモノ申す

【Part1】国境を越えて働く日本人が、証券取引において置き去りにされている?

2023年9月7日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

日本の『非居住者』になると、
投資に制限がかかる(取引が出来なくなる)
というのが今でも理解できません。

 

特に海外赴任の場合、

ご本人にとっては
同じ会社で
懸命に働くという姿勢に寸分の違いもないわけです。

 

たまたま、
働く場所が
「国内」から「海外」に移るだけ・・。

 

たったそれだけのことで、
今までコツコツ続けてきた積立投資
―老後の生活レベルを向上させるための行為―に、
「制限」がかかるなんて、
前時代的な空気さえ漂います。

 

 

 

 

 

わたしは相談業務を通じ、

(日本の非居住者になった場合の)
証券会社の対応を、
複数のお客様から具体的にお聞きする機会がありました。

 

わたしが解せない点が「ふたつ」あります。

 

1.証券会社によって
非居住者口座の扱いが微妙に異なる

 

 

2.口座をそのままの状態にしたまま
非居住者になる旨を告げず、
(その事実が発覚しなければ)
帰国後、特に罰則なく取引が出来てしまう

 

 

まず1.についてです。

 

お客様から寄せられた情報を突き合わせると、

SBI証券、楽天証券に関しては
日本の非居住者になると『証券口座』について、

 

 

〇 国債、日本株式については保有はできるが一般口座に移し替え。

 

〇 投資信託や外国株式については
海外との税金等の関係で全て解約する必要がある。

 

 

 

 

 

別のソースにも当たってみましょう。

日経新聞
海外転勤で断絶する金融サービス、資産運用立国に影』に

分かりやすい図表が掲載されています。

 

 

 

 

画像元:日本経済新聞社『海外転勤で断絶する金融サービス、資産運用立国に影

 

 

上図の、

 

SBI証券 新規取引は停止、特定・NISA口座保有資産は一般口座に振り替え
楽天証券 外国株や外国債券は出庫または売却

 

の部分ですが、

 

弊所のお客様情報を勘案すると、

 

SBI証券 新規取引は停止、特定・NISA口座保有資産は一般口座に振り替え
     外国株や外国債券は出庫または売却
楽天証券 新規取引は停止、特定・NISA口座保有資産は一般口座に振り替え
     外国株や外国債券は出庫または売却

 

がより正確と思われます。

 

 

また、
SMBC日興証券では「留守番口座」を別途用意とあります。

あるいは、
みずほ証券では
保有意向なら「継続適用届出書」提出を求めるとあります。

 

これは、
特定口座での口座維持が可能ということなのか、
(それとも)
他の証券会社と同じように『一般口座』に移し替えという意味なのでしょうか。

 

 

深刻なのは『NISA』の扱いです。

 

一部の証券会社では、
5年未満の海外赴任であればNISA口座を維持しておける制度を取り入れているにも拘らず、SBI証券、楽天証券では上記制度には対応していません。

 

 

 

 

 

 

 

実は平成31年度の税制改正によって、

「最長5年の海外転勤等」であれば、

一般NISAやつみたてNISAで保有してきた資産をNISA口座で維持できる(但し積立は不可)ようになりました。

 

上記制度に
SBI証券、楽天証券とも(なぜか)対応していないのです。

 

 

これまで
革新的なサービスを世に送り出してきた両ネット証券が、
NISA口座の維持に関して
このように保守的な姿勢を取っているのは残念でなりません。

 

 

 

来年から「新NISA制度」がスタートしますが、

同制度にも平成31年度の税制改正が適用されるとすると、

 

大きな非課税投資枠を有する新制度を、
(SBI証券、楽天証券の口座保有者は)
海外居住者になるというだけで
「あきらめないといけない事態」に陥ってしまいます。

 

これは、あまりに理不尽ではないでしょうか。

 

何しろ新NISAの投資枠は1800万円もあるのです。

 

 

 

 

 

以下わたくしのまったく私的な想像です。

 

非居住者の「証券口座」の扱いについては、
もしかすると
国税庁などから、かなり昔に通達等があったのではないでしょうか。

 

時代背景が変わったにもかかわらず、
各証券会社は『今も当時の取り決めに従っている。』と考えるのは邪推でしょうか。

 

 

それそも、海外で働く日本人は、
他者の『ロールモデル』となり得る貴重な人材です。

 

グローバルな社会経済の最前線で、
自身の可能性に賭け、
また会社や組織を背負って汗を流しているわけです。

(また知識向上のため、
キャリアアップのため、海外の教育機関で学ぶ日本人も同様。)

 

 

このような人たちに
首尾一貫した『投資環境』が与えられないなど、酷い仕打ちとしか思えません。

 

 

 

 

上述の日経新聞記事内には、
この問題の本質を突く文章があります。

 

「財産権の侵害だ。
長期保有を前提に投資しているのに
なぜ口座を閉鎖しなければならないのか」。

 

9月に米国に転勤する大手商社社員は証券会社の営業マンに電話で不満をぶつけた。

 

まったく同感です。

次回」に続く。

 


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