金融機関にモノ申す

金融機関さん、法人と個人、どちらを厚遇しますか?

2023年5月30日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

結論から言えば、

 

金融機関さん、これからは『個人』を厚遇しましょう!


というお話です。

 

もし間違っていたら教えていただきたいのですが、

『銀行』という金融サービス会社では、

リテール(個人)担当より
ホールセール(法人等)担当者のほうが、

なんと言いますか、ちょっと『格上』なのでしょうか?

 

(たぶんそうなのでしょうね。)

 

 

 

 

何を隠そう、投資信託の世界もそうです。

ひと昔前は、個人投資家向け、つまりはリテール向けの投信市場など、極々『小さな』マーケットに過ぎませんでした。

 

それに対して「ホールセール」向け、

すなわち、法人さま、機関投資家さまや、企業年金さまなどは、「ポーンと1億円を出すよ」というどころの話ではありません。

 

 

運用資金は下手をすると「何百億円、何千億円規模」にもなるため、
その人たちは昔から
『超低コスト』の手数料体系を享受してきました。

 

えっ?

 

 

 

 

経済評論家の山崎元さんが、

企業年金が支払う
投資信託の運用管理費用はいくらぐらいなの?」という疑問に、
具体的に答えてくれています。

 

山崎元「ホンネの投資教室」

 

 

 

国内株式の運用を例に取ると、
リテール向けの投資信託であれば

 

 

アクティブファンドで顧客が払う
税抜きの信託報酬が年率150bp
(bp:ベイシスポイント。100bp=1%)程度で、

うち運用会社の取り分が70〜80bp程度であることが多い。

 

 

一方、この同じ運用会社が
年金基金向けに行うアクティブ運用は、

 

「運用会社要覧」(投資顧問業協会編)にある
料率表(詳しくは後述)ベースで、

 

 

10億円までの小口で45bp、
100億円〜200億円の間で15bp、
500億円を超える金額の運用では12bpとぐっと安い。

 

スゴイですね・・。

(※ 信託報酬とは「運用管理費用」のこと。100bpとは1%のことで、15bpは0.15%になります。)

 

 

企業年金(年金基金)って
運用委託資産が500億円規模を超えると、

 

国内株式の『アクティブファンド』でも、
運用管理費用が 0.12%程度になるのです。

 

運用会社のほうも、運用資産規模が大きいため「報酬のパーセント」は低くてもOKとしてきたわけです。)

 

 

投資信託の世界では、法人等が個人よりも優遇されてきたことは明らかです。

 

 

 

 

 

では「不動産」はどうでしょう?

 

ここでは自ら投資を行うための「不動産」(収益物件)を、どう取得するかという視点で見てみましょう。

 

まず、法人と個人では
不動産に投資を行える「金額ベース」が違います。

個人の場合、
数億円程度がある種のリミットではないでしょうか?

 

 

そうすると、個人の不動産投資は
自ずと「居住用不動産」という用途に限られてきます。

 

ところが「法人」は?



数十億~数百億円の資金があれば、

 

居住用に限らず、オフィスビルや有料老人ホームや
物流倉庫や商業施設や老舗旅館やデータセンターなど、

さまざな用途の不動産から、
収益性、将来性を吟味して物件を決めることが可能です。

 

 

 





そもそも、「物件情報の取得」という意味合いで、
法人と個人では風通しの良さがまるで違います。

 

 

法人であれば、
日頃から融資を通じて「銀行」と付き合いがあります。




上述した、
商業施設やオフィスビルや
有料老人ホームを運営するのも「法人」であり、

これら法人が所有する『不動産』が
売りに出される情報を、一次的に知り得るのもまた「銀行」なのです。

 

 

法人間の商取引の中で、
不動産売却の情報も現出しますが、

この種の情報は「個人」では垣間見ることすら出来ません。

 

 

 

 

 

続いて「保険業界」はどうでしょう?

 

ある程度大きな企業にお勤めの人なら、

毎年5月とか6月、年に1度
『団体保険(グループ保険)の募集』などがありませんか?

会社が窓口になって、
その会社の従業員に限り募集してくれる保険制度です。
(通常『定期保険』が充てられます)



文字通り「団体割引」が適用され、
個人が自身で定期保険を契約するよりも、
保険料が割安になります。

 

保険会社の立場に立てば、
「個人」よりも「法人」(大口契約)を優先し、
手数料に差をつけるのはビジネス上、自然な現象だったのでしょう。 

 

 

ところで、今時代は大きく変わっています。

不動産は売買単価が高いので別枠かもしれませんが、
投資信託や保険の世界では、
この先リテール(個人)が主役になることが予想されます。

 

 



 

分かりやすい例が、
金融業界に先行する『旅行業界』です。

むかしは「団体旅行」がドル箱でしたが、

今後は個人の細かいニーズを掘り下げ、より大きな満足を実感させないと旅行業界は生き残っていけないでしょう。

 

何しろ個人の旅行ニーズは団体のそれより『底堅い』のです。

同じことが金融サービスでも云えるでしょう。

 

 

あなたやわたしのような「個人」の
あくなき『サービスを求める欲!』が、金融業界を変貌せしめるわけです。

 

 



 

この度、ニッセイアセットマネジメントが、
インデックスファンドのシリーズ『購入・換金手数料なし』シリーズにおいて、

4つのファンドの運用管理費用を
6月14日から引き下げると発表しています。

運用管理費用(信託報酬)の引下げは
今回でナント7度目になるのだそう。

 

「個人」を対象に、
既存のファンドを堅実に育てながら、
純資産額が増加するたびに
お客様(個人)への還元という主旨でコスト引き下げを繰り返す姿勢は、まさに見上げたものです。

 



しかも、
ニッセイアセットマネジメントという会社は、

親会社の「日本生命」の資産運用会社として出発しているわけですから、

 

 



 

ほんらい典型的な
法人(機関投資家)相手の運用会社であるはずなのです。


個人を見据えて、個人に還元する運用会社。素晴らしいことだと思います!

 

 

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