投資、はじめの一歩を踏み出そう!【パート4】
2023年5月5日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
【パート3】の続きです。
ひとつの株式を選んだ場合、
その投資対象が持つ
「固有のリスク」を計るのはなかなか難しいものです。
たとえば、
その会社が
研究開発中の商品に、
まだ露出していない潜在リスクが隠されているかもしれません。
また、その会社の常務取締役が
(実は)深刻な病気を患っているとか、そんなことは私たちには知る由もありません。
たった『一社』の株式に投資すると、
リスクの振れ幅(はば)という意味では
最悪あなたの投資が「ゼロ」に帰する可能性があります。
(会社の倒産ですね)
それに比して、
例えば日本株式ファンドを保有すれば、
自分の投資が「ゼロ」になることはありません。
わたし自身、
1999年~2000年にかけて
複数の個別株式を購入しました。
その際、
その会社(株価)の
今後の「期待リターン」を
数字として厳密に予測していたわけではありません。
個別株を選択する場合、
「この会社ならうまくやって行けるはずだ」とか、
「この新製品(サービス)は素晴らしいから広く普及するはずだ」みたいな、
自分の予想が閃いて、
それが『買いたい』という気持ちを後押しします。
もちろん、
メディアやSNSなどの各種『情報』も、
あなたの予想を
「それは正しいかも!」というふうに援護してくれます。
いや、ちょっと違うかも?
あなた自身が
「それは正しいかも!」という類の情報を、進んで読み込んでいくわけです。
閃きが確信になって、
自分の判断に酔い始めると、
たとえ、
「A社なのか」という理屈付けがうまく出来なくても、
という疑念が頭の隅をかすめても、
『この株を買いたい』
『買うべきだ』という衝動を抑えるのが難しくなります。
『感情』と『理屈』の戦いでもあるわけです。
人は誰しも、
「自分だけはうまくやれるはずだ」
「ワタシは他者より上手な選択ができるはずだ」という、「自信過剰」(オーバーコンフィデンス)な面を有しています。
勿論わたしもそうでした(笑)
ですから、
特定の株式や、
テーマを絞った投資信託や、特定のコモディティや、特定の暗号資産を目にすると、
靄がかかったような投資対象だけれど、
わたしにはこの先光輝くあなたの価値が見える。
みたいに思ってしまうわけです。
換言すれば・・、
投資という行いを難しくしているのは
マーケットの複雑さではなく、
私たちの「欲」であったりするのです。
<大事なPoint>
市場の複雑さではなく、
私たちの「欲」(感情)です。
これから先、
特定の金融商品を買いたいなぁという思い(感情)が先走り、(理屈)が影を潜めようとする際には、
もしかすると自分は、
世界のほんの一部しか見ていないかもしれない。
という『謙虚さ』を持つことが必要。
人は
どんなキレイごとを言っても、
○ 売買のタイミングをうまく捉えたい!
○ 大きなお金を投入して効率よく儲けたい!
というような
「強欲な面」を持ち合わせていますから・・。
この欲を、
うまく手なずけていく過程こそが『長期投資の道』なのかもしれません。
数多ある会社(株式)のうち、
果たしてどの株式が
もっとも伸びしろが大きくなるのか・・、
それを事前に見極めるのは至難の業です。
(と云いますか、
ほとんど才覚の世界といってもいいでしょう。)
個別株のような
究極の「絞り込み」に向かうのではなく、
リスクの制御を優先させ、
なるだけ投資対象を、
広く、散らして、出来るだけ緩い範囲で所有する。
これが『分散投資』の考え方です。
そしてこの、
分散投資を体現する道具が『投資信託』なのです。
ところで先ほど、
『ひとつの株式』に投資した場合、
最悪の場合、
あなたの投資が「ゼロ」になり得ると述べました。
ところが投資信託(ファンド)↑ では、
上の緑のフクロの中に、何百、何千という株式を詰め込んで分散投資するため、あなたの投資が「ゼロ」に帰することはありません。
もうひとつ、
あなたの投資が「ゼロ」になる事がない理由があります。
(実は)投資信託はその構造上、
・ファンドを作る人(運用会社)
・ファンド資産を管理する人(信託銀行)という
三つの会社が関係しています。
ハイ、そのご懸念はごもっともです。
が、実はココを
心配しなくてもよいのが『投資信託』の一大長所なのです。
結論から云えば、
・ファンドを売る人(販売会社)
・ファンドを作る人(運用会社)
・ファンド資産を管理する人(信託銀行)、
いずれの会社が潰れても、
あなたの資産は『信託』という仕組みによって守られます。
価格が大きく変動するリスクは
引き受けますが、
あなたの投資が「ゼロ」になる心配はしなくてよい・・、
この、信用リスクを回避する仕組みを内包するからこそ、投資信託は『分散投資』の代名詞となる道具に成長したのです。
続く・・)
カテゴリ:投資の発想法