投資信託あれこれ

投資信託の『売買高比率』をチェック!(そのファンド、銘柄を売り買いし過ぎていませんか?)

2022年3月5日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ファンド保有者が「長期投資」に徹するのは、
そんなに簡単なことではありません。

これは400メートル走ではなく、
42.195キロのマラソンなのだと
自分に言い聞かせる必要があるのです。

ただ、
いくらファンド保有者が
『長期保有』を実践しても、

ファンドそのものが
『頻繁に』銘柄を売買していたらどうでしょう?

 

 

 

これだと
同じ船には乗っているけれど、

運用会社(ファンド)と
あなた自身(ファンド保有者)が、
まったく違う景色を見ていることになります。

 

 

「でも、カンさん。
投資信託が組み入れ銘柄を
どの程度売り買いしているかって、どうやって知るのですか?」
はい、それは
「運用報告書(全体板)」を見れば分かります。

 

 

具体例を挙げてみましょう。

『三菱UFJ日本株アクティブ・ファンド』(愛称:凄腕)の
運用報告書(全体版)
(第18期 決算日:2018年10月30日)

ここに、
『売買高比率』という言葉が出てきます。

 

「何ですかそれは?」

 

ファンドって
1年に1回とか半年に1回「決算」を迎えるのですが、
その決算期中において、

 

そのファンドが『純資産総額』に対して、
どのくらいの規模で
銘柄を売り買いしたかを示す物差しのことを、
『売買高比率』といいます。

 

(※ちなみに上記ファンドは年に1回の決算です)

 

 

 

 

より細かく言いますと、

(期中の)『平均の純資産額』に対して、
『株式の売買金額』が
どの程度であったかを示しています。

 

「スミマセン、株式売買金額って何ですか?」

たとえばファンドが
トヨタ株を1億円分売ったとします。

そのお金で、
日産自動車の株を1億円分買いました。

これで株式売買金額は「2億円」になります。

 

たとえばですが、

 

期中における
ファンドの「平均純資産額」が100億円で、
「株式の売買金額」が200億円であったとすると、

 

この株式ファンドは、

ファンド内で保有するすべての銘柄を総入れ替えする(売って→買う)くらいの売買を行ったことになります。

 

ココ、伝わっていますか?

(※ 平均純資産額は正確には
「期中の平均組入株式時価総額」といいます)

 

 

ファンドの「平均純資産額」が100億円で、
その期中「株式の売買金額」が200億円であったとすると、
これで
売買高比率「2.0」になるのです。
株式売買金額 ÷ 平均純資産額

 

 

 

 

先ほどの運用報告書(全体版)に戻りますが、

三菱UFJ日本株アクティブ・ファンドの
『売買高比率』は?

2.94 でした。

 

 

ワオッ!

 

「1年間で
保有する銘柄をすべて入れ替えして、
なおも売り買いしているということ!」

はい、その通り。

 

インデックスファンドに比べて、
アクティブファンドの『売買高比率』が
高めになるのはご理解いただけると思いますが、

すべてのアクティブファンドが
頻繁に銘柄を売り買いするわけではありません。

 

たとえば、
「さわかみファンド」運用報告書(全体版)
(第19期 決算日:2018年8月23日) をご覧いただくと・・。

 

『売買高比率』は?

0.08 でした。

 

 

ワオッ!

(※ 当該ファンドも年1回の決算です)

 

 

銘柄の売買をなるだけ行わずに、
バイ・アンド・ホールド(長期保有)を
心がけるアクティブファンドもあるわけです。

 

あなたは、
ファンドが保有銘柄を
頻繁に売り買いすればするほど、
投資信託のリターンは高まると思いますか?

 

わたしはそうは思いません・・。

 

 

 

実は運用会社(ファンド)は、

銘柄の売買時に生じる
「売買委託手数料」を
自分ではいっさい負担していません・・。

これらコストを負担するのはいつも
『ファンド保有者』なのです!

 

自分ではコストを負担しない銘柄の売り買いであるため、
運用会社自身の
この株式を売るべきか、
買うべきかという『判断』が、
甘くなったりすることってないのでしょうか?

 

 

換言すれば、
売買にかかる手数料を
運用会社自らがすべて負担する場合でも、

果たして同じボリュームの売り買いを
運用会社は実施するのでしょうか?

これは4時間くらい根を詰めて考える意味がある命題だと思います。

 

 

ひとつだけ確かなこと。

それは、
運用報告書(全体版)の「売買高比率」チェックし、

ファンドが銘柄を売買し過ぎていないかどうかを
私たち自身が監視する必要があるということです。

 

〇 こんな記事も書いています。
純資産額に大きな起伏があったら要注意!』(ここが投資信託の難しいところ)

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