投資の発想法

カレー屋さんと世界株式インデックスファンド

2021年3月14日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

わたしが好きな本のひとつに、
中桐啓貴さんの
【隠れたお金持ちが、みんなやってる投資の法則】があります。




この本の中に『カレー屋さんの話』が出てくるのです。

○ あなたの後輩がカレー屋さんを始めました。
あなたは会社のお金の半分、500万円を出資します。


カレー屋さんは数多の人に独特で美味しいカレーを提供し、
会社のお金は少しずつ増えていきました。

事業が順調に発展し、
たとえば、会社のお金が1億円になったとしましょう。

あなたには
半分の5,000万円の利益を手にする「権利」があります。

(だって、あなたは最初に
会社のお金の半分、500万円を出資した本人ですから。)

 



もちろん、
事業が発展するのは容易なことではありません。

どんな会社にも好不調の「波」があり、
競争相手もおり、
お客様に認められてようやく、
会社のお金が少しずつ積み上がっていくわけです。

そして紆余曲折のすえ、
あなたが5,000万円の利益を手にすることができました。

それは、
あなたが(カレー屋さんの事業を通じて)
社会に貢献した『プラスアルファの数字』です。


(実は)あなたが後輩のカレー屋さんに出資することも、
全世界株式インデックス・ファンドを保有することも、
その根底の原理は【同じ】なのです。


それは、

1.あなたがお金を通じて、世の中とつながり、
何かしらの価値を提供すること。

そして、その姿勢は3か月、半年などではなく、

2.長期の時間スパンに則っていること。

それがすなわち「投資」です。

 



 

○ カレー屋さんに出資する人
○ 世界の株式に出資する人

このふたりはずいぶん気色が違うように思えます。

カレー屋さんに出資する人は、

 

「なに? 世界株式インデックス・ファンドだって。それホントに投資なの?」


と思われるかもしれません。

いっぽう、
全世界株式インデックス・ファンドに投資をしている人は、

 

「えー、ひとつのカレー屋さんにそんなに投資しちゃうの?」

 

と驚かれるかもしれません。

両者の何が違うかというと、
【リスク・リターンの特性】が大きく異なるだけです。


注意するべき点は、
『全世界株式』にまんべんなく投資したとしても、

1年の収益がマイナス30%、マイナス40%になってしまうようなリスクを内包している、ということ。

そして『ひとつのカレー屋』に投資をすることは(最悪の場合、)マイナス100%も覚悟する必要があります。

双方とも、
あなたのお金が大きく毀損する可能性があるのに、どうしてヒトはお金を託そうとするのでしょう・・?

そこに、面白味があって、お金が増える可能性があるからですね。

 

投資は(いつの時代も)私たちの知的好奇心を増幅させてくれる触媒なのです。



明日、ファンドの価格が上がるかどうかすら分かりません。
来週、カレー屋さんの来客が増えるかどうかも分かりません。

なぜなら、あなたの投資対象はいずれも刻々と変わる
『外部要因』に影響を受けるためです。

ときに荒波が押し寄せ、
決死のトライアルが見事に失敗することがあっても、
また別の人が、また同じ投資の対象にお金を託したりします。

 

『リスクマネーを供したがるのは人間の病なのです。』←よい意味で!



もちろん、

○ カレー屋さんに出資する人
○ 世界の株式に出資する人 にも違いはあります。

カレー屋さんには「つみたて投資」は出来ません。

カレー屋さんがもし上場していなければ、
誰にも分かる「企業価値(株価)」を不特定多数の人が認識し、
「時価」で売り買いすることはできません。

でも、カレー屋さんも、世界の株式でも「まずやってみよう」というトライアルの精神に優劣はないのです。


ただし、です。

リスクの階段の上り方としては、

カレー屋さんへの出資 → 世界の株式への出資 ではなく、
世界の株式への出資 → カレー屋さんへの出資 なのでしょう。

わたしも長くリスクマネーを供し続けていますが、
いつの日か心惹かれる『カレー屋さん』を見つけたいと夢想することがあります。

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