投資の発想法

短期投資と長期投資の違いは?

2024年3月21日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ハロルド・エバンスキー氏が書かれた
ウェルス・マネジメント』という本の冒頭に、
格言が記されています。

 

 

短期投資を望む顧客はグル(教祖)を求め、
長期投資を望む顧客は賢者を求める。
グルはいない。

 

この言葉に(今でも)グッと来ます。

 

 

 

 

 

上記のことばは
短期投資と長期投資の
本質的な違いを突いています。

 

ひと言でいえば、

 

〇 短期投資は 熱狂 であり、
〇 長期投資は 現実 なのです。

 

伝わっていますか?

 

 

 

よく、
○○ファンドを「買う!」という言い方をしますね。

投資商品を『買う』と表現すると、
その対語として『売る』という言葉が想起されます。

 

 

 

 

 

「Buy」と言うから、
「Sell」が浮かんでくるわけです。

 

『買う』という行為を
投資だと勘違いすると、

当然『売る』という行為も
(投資だ!)と意識することになってしまいます。

 

これが「短期投資」の本質。

 

 

ところで、クルマも
最初は当然『買う』わけですが、

 

 

 

 

ふつう、
「わたしクルマ持っているわ。」というように、それを所有する「状態」で説明しますね。

 

「わたしクルマ買っています。」とは言いません。

 

あるいは尋ねるほうも、
「あなた、クルマ買っている?」とは聞きません。

「あなた、クルマ持ってる?」と聞くはずです。

 

投資も同じだと思います。

 

 

投資をするとは、
商品を「買う」「売る」という行為(状態)を指すのではなく、投資商品を『持っている状態』を指すわけです。

 

これが「長期投資」のコンセプト。

 

 

 

 

 

『Buy』ではなく『Hold』。

 

ですので正直、退屈です(笑)

 

 

決して大げさではなく、

 

あなたの投資人生の99.9%
ただ投資商品を『持っている時間』で占められることでしょう。

 

 

短期と長期では見る「指標」が異なります。

 

短期投資では何より「価格」が重要。

いっぽう長期投資では
「価値」が醸成されるのを待つだけです。

 

短期投資は取引(Trade)
長期投資こそ Investment なのです。

 

 

 

 

あるいは両者は
「どちらが主人公か?」という点でも異なります。

 

〇 短期投資は・・ あなたが「主人公」
〇 長期投資は・・ マーケットが「主人公」

 

 

面白さの勝ち負けでいえば、短期投資の圧勝でしょう。

(何しろあなたが「主人公」ですから!)

 

 

 

 

 

ただし、
短期投資で
しばらくの間、
うまく行っていたとしても、

 

あなたが永遠に
市場でうまく立ち回れる保証はありません。

 

 

例えば、積立投資を続けていれば、
『リスク資産』がどんどん積み上がりますね。

 

 

おそらく多くの投資家は、

当初「短期投資」に気持ちが傾きながらも、

時間の経過とともに、
かつ、リスク資産の増加とともに、

 

徐々に気持ちが
「長期投資」にシフトしていくのではないでしょうか。

なぜなら少しずつ投資の怖さを実感していくためです。

 

 

熱狂から、現実を知る旅へ。

 

 

 

 

 

私たちは、
ゆっくりゆっくり時間をかけて、
(投資に対して)慎重に、かつ、賢明になっていきます。
複雑な短期という事象に別れを告げて、シンプルな長期に誘われることに。

 

 

もう10年選手に近いあなたから見れば、

向う見ずに
自分の欲や己の願望のみで投資商品を買って(売って)いた自分が、懐かしくさえ思えてくるはずです。

 

 

ただし、

投資・運用業界に金銭的に貢献しているのは間違いなく「短期投資」のほうでしょう。

 

 

長期投資家は、
BuyではなくHoldする人ですから、

莫大な利益が出ても、
(投資商品を持っている間は)税金すら払わない人なのです。

 

 

 

 

 

最後に、一点だけご注意を。

 

「長期投資」と云っても
所詮、投資商品を「売る」のを、
先延ばしにしている状態に過ぎません。

(死ぬまで『持ち続ける』のは基本おすすめしません)

 

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