投資信託あれこれ, 金融機関にモノ申す

投資信託、『殿様商売』の終焉がやってきました・・

2019年12月19日

こんにちは。
投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。

今年(2019年)の終盤になって、
投資信託を取り巻く環境が大きく変化しています。

つい2週間前、
わたしは以下記事を書きました。
ネット5社の投信販売手数料、すべて『ゼロ』へ!(ファンド新時代の幕開け)

これを書いたあとに、
妙に冷めた空気が自分の中に巻き起こったのです。

 

購入時の手数料が「ゼロ」に!って云うけれど、

ふつう買い物をしたら
どんなモノ、コトであれ、
『本体価格』だけを支払うよね。

そもそも購入する際に、
いちいち別途「手数料」を取る世界というのが【異常】だったのでは・・

 

わたしはそう思うのです。


そうこうしているうちに16日、
わたしはひとり中華料理店で晩ご飯を食べていたのですが、

 

日経ニュースがメールで流れてきて、
翌17日、
楽天証券、投信の取り崩しサービスで3つのコースとも品揃えへ(ゆりかごから墓場までの実現です)】というブログ記事を書きます。

 

 

楽天証券では、
投資信託の定期売却サービスとして

ナント【定率指定】【金額指定】【同口数指定】という3つのコースを
用意してくれるそうなのです。


資産運用とは、
コツコツ積立 ⇒ 資産形成 ⇒ コツコツ取り崩しという、
壮大なプロセスそのものですから、

この包括的な『定期・取り崩しサービス』は画期的だと思います。


わたしはカウンセリングの中で、
リタイアメントを控えた相談者さまに
低コストの『バランス型ファンド』をお勧めすることがあります。

その理由は、
コツコツ取り崩しがしやすくなり、
資産管理そのものが容易になるためです。


「運用資産の取り崩し」の時期を迎え、
楽天証券の画面上でポンと
定口指定=同口数指定】を指示すれば、

 

しくみが自動的に「ひとつのバランスファンド」を
規則的に解約していきます。

 

(これだとご本人に万が一のことがあっても、
遺族の方もしくみを引き継ぎやすいですよね。)




しかも上記の場合【同口数指定】ですから、

〇 ファンドの価格が高いときは「解約金額」が増え、
〇 ファンドの価格が安いときは「解約金額」が減るわけです。

つまりは?)

 

ファンドの価格が高い時は結果としてたくさん売り安い時は少なく売るという『自動調整作用』が働くのです。
(とっても理に適っています(^^)

 

 

そうこうしているうちに、
17日の夕方、

セゾン投信が
「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と
「セゾン資産形成の達人ファンド」について、

定期売却サービス』を開始すると発表しました。
(来年春を目途に)リリースはこちら

(※『同口数売却』と『定額売却』ともに対応してくれるそうです)

 

 

また同日、
ありがとう投信がこれまでの「定額換金サービス」に加え、
『定率』での換金に対応するプランを開始したと発表。
(年率2~5%の中から選びます。詳細はこちら


どうでしょう?
これらいずれも素晴らしいことですよね?

ん??

 



 

でも、これらの「善」は
これまでの(あえてキツイ言い方をしますが、)
投信業界が行ってきた「悪」への反作用に過ぎません。

そして実はその「悪」とは、
ファンドの手数料がただ単に
馬鹿高かったという点だけではありません。


 【閑話休題】

 

 

 

 

 

日本の投資信託では
最初『証券会社』が運用そのものを行っていました。

 

その後、運用会社が分離して
ファンドの運用を行うことになりますが、

常に「親証券」のほうを向いて
仕事を続けることになってしまったのです。

 

 

権力図でいうと、いつも、

親証券 > 運用会社(子会社)だったのです。

 


また、証券会社ではかつて
『個別株』こそが花形でした。

顧客に株の売買を勧め、
自らも自己売買部門(ディーリング部門)で株の取引を行います。

個別株の売買を行う中で、
証券会社は投資信託を
自分たちの【都合のよいツール】として利用していきます。



たとえばバブル当時は、
投資信託といっても
ファミリーファンド・ユニット」と呼ばれる単位型のファンドがメインでした。

(運用期間は5年程度。)

この中で、
ファンドがたくさん銘柄の売買をすれば、
それだけ「親証券」が儲かりますね。


また、
「ファンド・ユニット」では
たいていは1年とか2年で顧客に解約をさせて、

新発売の「ファンド・ユニット」に乗り換えをさせていました。
(当時はファンド・ユニットが毎月新発売されていたのです)

 

 

 

 

あるいは、顧客に銘柄推奨したものの、
パフォーマンスが芳しくなかった株式や、

自己売買部門でうまく売り抜けるため、
「出口戦略」として売りたい株を
投信に買わせたりすることも慣習としてあったそうです。


あっ、
あくまで「むかし」の話ですよ。


今、投資信託のフィールドで起こっていることの本質は、
【パラダイムの大変換】です。

投信業界はようやく、

 

「おい、どうやら
これからある程度リテラシーの高いふつうの生活者が、
投資信託の『メインユーザー』になるようだぞ・・。

今までのような殿様商売は出来なくなる。」

 

そんな『危機感』をあらわにしているわけです・・。


その危機感の表れが
投資信託をめぐるコストの「ゼロ化」であり、

これから数年をかけて、
顧客の囲い込みを賭け、
壮大な競争が起こるとわたしは予想します。



5年後には証券会社の数が「半分」になっても
まったく不思議ではありません・・。

おそらく、日本の投信業界にとって
来年(2020年)こそが本当の【ビッグバン】となるでしょう。

 

投資信託は、
IT機器や衣服や旅行商品のように、
大衆商品化】していくプロセスの中にいるのです。


これは、
私たち消費者にとって、
メリット以外のなにものでもありません。

私たちはリスク資産を保有し、
そのリスクを一手に引き受けます。

その苦労そのものは変わりませんが、
投資信託に付随する【サービスインフラ】は
これから「まともになっていく」いっぽうなのです・・。



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