なぜ、ニッセイ外国株式インデックスファンドに昨年「資金流出」が起こり、楽天全米株式インデックスファンドでは、それが起こらなかったのか?(後編)
2025年1月31日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
昨日の続きです。
なぜ「ニッセイ外国株式インデックスファンド」では、
23年末、24年末と
『純資金流出』が起こったのでしょうか?
※以下「ニッセイ外国株式」と略称します。
ニッセイ外国株式は2013年の設定であるため、
純資産額に占める『特定口座』の比率が高く、
2024年の新NISA制度開始の影響を受けて、「特定口座」から「新NISA」に『乗り換える』動きが相当程度あったのだと推察します。
そのため、
以下『月次資金流出入額』の動きが示す通り、
画像元:SBI証券
「純資金流出」が起こったわけです。
興味深いのは、
2023年11月、12月、24年1月の『純資金流出額』よりも、
『純資金流出額』のほうが大きくなっている点です。
画像元:SBI証券
これはおそらく、
新NISA一年目は
ニッセイ外国株式の保有者の一部が、
恐る恐る「NISA口座」へ乗り換えを実施していたものが、
2024年の市況が好調だったこともあり、
より本格的に「特定口座」から「NISA口座」への乗り換えが起こったものと考えられます。
ここから類推すれば、
「ニッセイ外国株式」では
2025年の年末にも同じような資金移動が起こる可能性が高いと考えます。
わたしがここで申し上げたいのは、
俗に
「新NISA口座に、年間で○○兆円の資金が流入!」
みたいな言い方をされますが、
全部がぜんぶ「新規の流入資金」ではない。という点です。
それら資金の相当部分は、
既存の「特定口座」の商品を売却したり
(あるいは)旧NISAのひとつである「一般NISA」の商品を解約することによって発生しており、
長い目で見れば、
『新NISA口座の資産』が増える。
という大きなトレンドを内包していると考えます。
では、
(話は急に変わりますが、)
2017年9月に設定された
「楽天全米株式インデックスファンド」は、
直近4年間、
どのような『月次資金流出入額』のグラフになっているのでしょうか?
画像元:SBI証券
こちらのファンドは、
2023年末も、2024年末も「純資金流入」を保っています。
24年1月がもっとも純資金流入額が細ったようですが、それでも約35億円の純流入となりました。
楽天全米株式インデックスファンドの
『運用開始時期』(2017年9月)がポイントです。
当該ファンドに関心を持ち、
当該ファンドを購入した人の気持ちになってみてください。
『楽天全米株式イ・ファンド』の設定後ほどなく、旧NISAのひとつ、つみたてNISA(2018年)が始まったわけです。
『楽天全米株式イ・ファンド』を積み立てる人は、まずは「つみたてNISA口座」を利用しようとするでしょう。
さらに余力があれば「特定口座」でも買っていったかもしれません。
すなわち、
楽天全米株式インデックスファンドでは、
「iDeCo口座」(楽天証券)での純資産額が増えていったという構図ではないでしょうか。
「つみたてNISA」は非課税期間が20年ありますから、
初年(2018年)に入れた資金でも
非課税期間の『満期』を迎えるのは2037年の年末です。
つまり、
わざわざ「つみたてNISA」から「新NISA」に乗り換えを行う需要は乏しいわけです。
※つみたてNISA内の「楽天全米株式イ・ファンド」は、そのまま持ち続けている人が圧倒的多数派でしょう。
言い方を換えれば、
「ニッセイ外国株式」ほどには
『特定口座』から『新NISA口座』への乗り換え需要も大きくはない。とも言えます。
ただ、いずれのファンドも
長~い目で見れば、
『新NISA口座の資産』が増える。
という大きなトレンドを有していることに変わりはないでしょう。
※その投資信託がNISA対象ファンドであれば。
運用会社におかれましては、
「ひとつの投資信託」の純資産額の、
【口座別内訳】を公表していただければたいへん有難いです。
すなわち、
・特定口座(一般口座含む)
・イデコ口座
・一般NISA口座
・つみたてNISA口座
・ジュニアNISA口座
・新NISA口座の、
それぞれの『純資産額』とその『比率』です。
このデータを時系列で概観できれば、
ファンド投資家が
どのように資金の配分や、資金の移動を行っているかが分かるようになります。