投資信託っぽくない投資信託が続々登場する = 過熱相場の証拠?
2024年4月1日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
まずは、
清く正しい「論争」を思い出してみましょう。
あなたはどっちを選ぶ?
米国株式のみか、
世界株式かという違いはありますが、
広範に分散を施すインデックスファンドを比較し、
ディスカッションすること自体、
わたしは意味のある「論争」だと感じます。
「いかにも投資信託らしい」議題なのです。
(ところで)話題は変わりますが、
マーケットは相変わらず好調です。
今の株式市場がバブル的傾向にあるのか否かは、
わたし個人には分かりません。
ただ、それを占う『指標』はいくつかあります。
投資信託を製造するメーカー(運用会社)が、どんなファンドを設定しているか、その傾向を見ることです。
ファンド価格が上昇を続け、
あなたの投資成績が良いほうにどんどん塗り替えられると、
歴史上、射幸心を煽るような「投資信託」が続々登場してきました。
つまり?
黄色信号の点滅です。
大和アセットマネジメントが先月、
「一歩先いくUSテック・トップ20インデックス」を設定しました。
当該ファンドは
FactSet US Tech Top 20指数との連動を目指します。
(実際はグローバルXのETFに投資を行っています)
FactSet US Tech Top 20指数とは?
FactSet Research Systems Inc.が開発した、
米国を代表するテクノロジー関連上場企業20社で構成される時価総額加重平均型の株価指数です。
同指数は
半導体、eコマース、クラウドなど5つのサブテーマに分かれ、「一サブテーマ」あたりの比率に25%までという上限を設定しています。
ただ、組入れ企業は「20社」のみです。
(テック関連の『セクターファンド』であることに変わりはありません。)
もっと大胆なのが、
同じ大和アセットマネジメントが運用を行う
「iFreeNEXT FANG+インデックス」
当該ファンドは2018年から運用を開始し、
すでに丸6年が経過しています。
同ファンドは、
米国の代表的テック企業「10社」のみの組入れ。
画像元:大和アセットマネジメント
もう、
「これくらいかな」と思っていたのですが・・・。
そろそろ「シートベルトを締めないと❗️」という戒めになるような投資信託が本日設定されました。 pic.twitter.com/df9By1PjUB
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) March 22, 2024
「米国大型テクノロジー株式ファンド」が
3月22日に設定されました。
当該ファンドは
三井住友トラスト・アセットマネジメントによる設定・運用です。
「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる
米国の巨大テック企業「7社」のみに投資を行います。
これって投資信託?
わたしはNOだと思います。
すでに、
広範に分散を施すファンドではなくなっていますから。
深い銘柄の分散、業種の分散を実践して、枕を高くして眠ることを可能にする。⇒ そうした道具こそが「投資信託」であるためです。
TOP20も、
FANG+も、
マグニフィセント・セブンも、
射幸心を煽って、
「こちらのほうがもっと凄い成績ですよ!」と宣伝して、そこそこ高い運用管理費用も徴収しています。
(保有する銘柄数は少ないのに!)
このようなファンド群は
投資信託という商品の『特性』をもはや逸脱しているのでは?
人間は惑わされる生き物です。
好調過ぎる市場に長く居ると、
知らず知らずのうちに、
地面から70センチ位浮いてふわふわ歩いているように錯覚します。
上昇相場に惑わされ、
知らず知らずのうちに
次の『リスクステージ』に移行してしまいがちなのです。
これまでS&P500とFANG+を月3万づつの積立だったけど、FANG+一本で月5万にする方向で固まりつつある🤔
— ヤナギ@40代底辺会社員🇺🇸米国株投信🔰 (@amaneyanagi) March 31, 2024
入金力がものを言う世界、仮に両方5万ずつ積立出来るならまだしも(それでも少ないけど)、3万づつじゃ大したリターンは望めないし、それならハイリスクハイリターンな方に選択・集中すべきかなと。
S&P500、それともFANG+? の議論は、
S&P500(組入れ500社)、それともオルカン(組入れ約2800社)にしようか?という議論とは明らかに異なります。
【追記】2024 05 01
こんなファンドが新たに設定されるようです。
Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)
最後に、以下記事をご覧いただければ、
S&P500指数が、
ルールを重んじる、保守的かつ包括的な「株価指数」であることがご理解いただけるはずです。
いわんやMSCI ACWI指数においてをや。
『S&P500の銘柄組み入れは(意外と?)厳格に管理されています』