ファンドの手数料は投資家の実績リターンを削ります(まるでかつお節のように・・)
2024年1月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託のコストって
ほんとうに分かりにくいです。
たとえるなら、
ほんの少しずつ溶けていく氷(こおり)のようなもの。
(=少しずつ引かれる)ので、実感しにくいのです。
以前「ウォール・ストリート・ジャーナル」で
以下のような記事を見つけました。
〇 投資信託そのものの『名目リターン』と、
〇 ファンドを保有する投資家の『実績リターン』は異なります。
なぜなら、継続コストがかかるため。
そのほかに
購入時の手数料を請求したり、ファンド解約時に手数料がかかるものもあります。
必要もない売り買いをすると(余計に)コストがかかります。
長期保有とは、手数料を最小にする戦略でもあるのです。
ところで、上記記事内では、
米国モーニングスターの【調査】が挙げられていました。
分散型株式ファンドの
2016年12月31日までの10年間における年率の『投資家向けリターン』
(=経費など控除後の投資家全体のパフォーマンス)は、
投資家の『実績リターン』が 4.59% だったのに対し、
「1.2%ポイント」以上の差があったそうです。
コストが低いファンドですら、
投資信託自体のリターン(名目リターン)に比べて、1%以上劣後しているのが、投資家のリターン(実績リターン)なのです。
上記記事より引用してみましょう。
コストの高いファンドでは、
ファンド自体のリターンが
4.34%だったのに対して、
投資家のリターンはわずか 1.78% で、約2.6%ポイントの差があった。
なんと! これでは投資家側の【取り分】が少なすぎます。
投資信託の「継続コスト」を視覚的に理解するためには?
ズバリ、かつお節でしょう。
けいぞくコストである
投資信託の『運用管理費用』は、
ファンド資産そのものから毎日少しずつ削られます。
長いスパンで見れば見るほど、かつお節の「ひと削り」も積み上がっていくわけです。
投資信託の、
〇 継続コストが大きいと、
ファンド運営側の取り分が大きくなります。
投資信託の、
〇 継続コストが小さければ小さいほど、
ファンド保有者の取り分が増すことになります(所詮、収益の奪い合いなのです)
要注意は「名目リターン」が大きなマイナスになった場合でしょう。
市場が暴落し『名目リターン』がマイナス20%になった際に、
運用管理費用で年1.6%のコストを払っていると、
ファンド保有者の『実績リターン』はマイナス21.6%になってしまいます。
ファンドの名目リターンに近い「実績リターン」で損失を留めることができる、ということでしょう。
最後に、あなた自身の『実績リターン』を上げるためには?
〇 投資信託を保有したら、
意味のない売り買いをしない(=できるだけ長く持ち続ける)
〇 NISA制度のような
税制優遇制度を利用する。
〇 購入時の手数料、解約時の手数料がかからず、
運用管理費用ができるだけ低い投資信託を選ぶ。
至極シンプルですが「真実」なのです。
カテゴリ:投資信託あれこれ