投資信託あれこれ

昔はもっと荒削りだった投資信託たち・・

2023年11月23日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

何事もそうですが、
初期の頃って 試行錯誤の連続 です。

私たちはこんにち投資信託を、

「あっ、投資信託ね」という感じで、

その性能(&特徴)を当然のものとして利用していますが、

 

実は今日のカタチに落ち着くまで、
投資信託はさまざまな変遷を経ています。

 

 

 

 

 

1900年代初頭のころ、

投資信託といえば
株式市場に上場するタイプの投資信託、
「クローズド・エンド・ファンド」が主流でした。

 

『株式市場に上場している?』

はい、そうです。

 

より正確にいうと、
株式市場に上場する『アクティブ・ファンド』です。

※ 当時インデックスファンドという概念は存在しませんでした。

 

 

たとえばこんな一例・・。

 

「ABCクローズド・エンド・ファンド」は
アメリカの成長株に投資を行うファンドです、

この投資信託が運用を開始する際、
『口数』を区切って募集を行うのです。

 

 

申込みの期限が来れば、
そのあとの追加募集はなし。

 

 

株式市場に上場したのち、

「ABCクローズド・エンド・ファンド」を
売りたい人、買いたい人は、
『市場』を通じて取引することになります。

(今のETFっぽい?)

 

 

 

 

 

また当時はファンドの運用会社が基本、
ファンド資産も管理していました。

たとえば、あなたとわたしが
「ABCクローズド・エンド・ファンド」を運用する運用会社の経営者だったとしましょう。

 

ファンド内にはたくさんの資金が存在します。
数えてみると30億円くらいになっていました。

 

そこで、

わたしの中の『悪魔』があなたに囁きます。

 

「あのー、1000万円くらい
僕たちが使っても分かんないんじゃない?」

 

 

 

 

実際、アメリカでは
運用会社がファンド資産を使い込む『横領事件』が何件も起こったのだそう。

 

後年、その反省をもとに、

 

「ファンドを運用する会社」と
「ファンド資産を預かる会社」を分別することが義務づけられたのです、信託(Trust)というしくみを用いて。

 

 

問題はそれだけではありません。

当時の「クローズド・エンド・ファンド」は
ファンド自体が多額の借金をして(レバレッジを用いて)元手を増やし、よりリスクの高い運用を行うことが可能でした。

 

それより何より、
「クローズド・エンド・ファンド」には根本的な欠陥がありました。

 

それは、

 

ファンドの『正味価値』と、
ファンドの『取引価格』がしばしば乖離してしまうこと。

 

 

 

 

 

一度、こんなふうに想像してみましょう。

 

「ABCクローズド・エンド・ファンド」の
本当の価値(正味価値)って?

 

それは、
「ABCクローズド・エンド・ファンド」が
組み入れる株式の時価、現金などを合計し、

そこから負債を引いて、それを総口数で割れば、そこから『正味価値』が算出できるはずです。

 

 

ところが、です。

「ABCクローズド・エンド・ファンド」は
市場に上場する『銘柄』でもあるため、

 

マーケットの需給によって
『取引価格』が正味価値より高くなりすぎたり、安くなりすぎたりしていたのです。

 

(投資家にとっては、
自分が適正な価格でファンドを買っているか否かがきわめて分かりにくい。)

 

 

 

 

 

そんな折も折、
繁栄を謳歌してきたアメリカ経済に突如 嵐 が吹き荒れます。

 

1929年10月24日から、
株式市場の大暴落が起こったのです。
(「暗黒の木曜日」です・・)

 

当時上場していた
「クローズド・エンド・ファンド」は、
多額の借金をして運用を行っていたため、

かつ、ファンドが組み入れる個々の株式も、信用取引によって取得することも可能であったため、

 

 

いったん株式市場の暴落が起こると、
ファンドの『取引価格』は急降下し、制御が効かなくなります。

 

 

 

実際、史上最悪の大暴落に陥ってしまった原因のひとつが、この「クローズド・エンド・ファンド」(会社型の投資信託)の存在だったのです。

 

この大恐慌を教訓にアメリカでは、

ファンドの『正味価値』のみをファンド価格とする、
「オープンエンド型のファンド」(こんにちの投資信託)が台頭してくるのです。

 


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