インデックス投資全般

1971年世界初のインデックスファンドは、鞄メーカーの年金運用としてスタートしました

2023年10月7日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

個人向けのインデックスファンドは1976年、
バンガード社による『First Index Investment Trust』がその始まりです。

ところが、それ以前に『世界初のインデックスファンド』は存在したのです。

 

 

(実は)今から52年前の1971年に、
サンフランシスコのウェルズ・ファーゴ銀行が
企業年金向けに立ち上げた米国株式ファンドが「インデックスファンドの元祖」です。

 

 

まずは、
ウェルズ・ファーゴ銀行のジョーン・マックーンに登場してもらいましょう。

 

実はジョーン・マックーンが、
シカゴ大学のビジネスマン向けセミナーで『効率的市場仮説』を学んだことが、インデックスファンド開発のきっかけと云われてます。

 

『効率的市場仮説って?』

 

現在の株価は、将来に対するあらゆる情報を織り込んだ上で形成されているため、世の中にすでにある情報をもとに、投資で恒常的に利益を上げることはできないという考え方を指します。

 

(転じてここから『市場平均』を金融商品化するアイデアが生まれたわけです。)

 

 

 

 

 

マックーンはこのとき、
シカゴ大学ビジネススクールの生徒だったチャールズ・シュウェイダーと接点を持ちました。


(シュウェイダー自身も効率的市場の理論に関心を持つ学生でした)

 

マックーンから、
株式市場の『平均』との連動を目指す商品開発の話を聞いたシュウェイダーは興味をそそられ、父親に以下のような提言をしたと云われます。

 

「お父さんの会社の年金運用を、市場平均との連動を目指す手法でやってみたら?」

 

 

実はシュウェイダーという学生は、
旅行カバンで有名な「サムソナイト」を経営するシュウェイダーさんの息子だったのです。

 

 

 

 

上記、嘘のようなホントの話なのですが、

 

このような経緯でウェルズ・ファーゴ銀行は1971 年7月 、
世界初のインデックスファンドを組成するに至りました。

 

(「サムソナイト」の企業年金の運用として。)

 

 

わたしは今、何気に文章として記しましたが、
当時の運用業界の常識からすると、

かなり・かなり突拍子もないコトなのです!

 

なぜなら当時は
人の「銘柄発掘能力」を頼りに、
良成績を追い求める投資信託が(存在するファンドの)『すべて』だったためです。

 

インデックスファンドが登場しその認知を得てはじめて、アクティブファンドという概念が形成されたわけです。

 

 

ところで、

ウェルズ・ファーゴ銀行によるインデックスファンドの運用元本はおよそ600万USドルでした。

 

ジョーン・マックーンたちは当初、
ニューヨーク証券取引所に上場するすべての株式 『1500 社』を同じ割合で保有し、バランスを保とうとしました。


(市場平均の概念はまだ手探りの状態だったのです・・)

 

 

 

 

 

また、運用の実態はたいへんお粗末で、
全銘柄の組み入れ割合を同じに保つため、
運用チームは頻繁に『リ・バランス』を繰り返します。

 

71年当時はまだ株式の「売買手数料」は自由化されておらず、
リ・バランスのために莫大なコストがかかってしまったのです。

 

結局1973 年、
ウェルズ・ファーゴ銀行の運用チームは、
S&P500指数との連動を目指す運用に切り換えました。

 

このときはじめて
『株価指数』が市場の体温計から、金融商品に昇華したのです。


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