投資信託あれこれ

「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の基準価額騰落の要因分解を見てみる

2023年6月23日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

4月26日のことでした。

鳴り物入りで、
「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」が運用を開始したのは。
(運用会社は日興アセットマネジメント。)

 

今、
はじめての「マンスリーレポート」(5月末時点)が閲覧できるようになっています。

 

 

 

 

 

ここでは当該ファンドが
年0.05775%の運用管理費用を謳いながら、

指数の商標使用料(ライセンスフィー)などを
運用管理費用に含んでいない点にはタッチしません。

(別の機会に言及したいと思います。)

 

本日注目したいのは、
マンスリーレポート」(5月末時点)の4ページ目に記載がある『基準価額騰落の要因分解』です。

 

先進国株式や、
全世界株式のファンドに投資をしていると、

 

ファンド価格が上昇した際に、
ファンドが内包する
株式の価格のみが上がった。と判断してしまいがち。

 

 

しかし、
ファンド価格の変動のうち、

為替差益あるいは『為替差損』の影響が
どの程度あるのかという分析も(実は)重要なのです。

 

 

画像元:マンスリーレポート(Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)

 

上図をご覧ください。
(ここでは5月分のみにフォーカスします)

 

Tracers全世界株式は5月の1ヵ月間で、

10137円(4月末)から
10607円(5月末)にファンド価格が上昇しています。

 

 

ところが、
この「470円分」の上昇のうち、
「355円」は為替要因(為替差益)によるものなのです。

 

 

これは、
組み入れ銘柄の株価が大いに上がったというより、

為替が総じて「円安」に振れて、
それが主要因で、
ファンド価格が「470円分」上昇したといえます。

 

 

少し辛口に言えば、

 

株価上昇分はほんのわずかで、
為替の影響
ファンド価格がかさ上げされているよ。
あんまりウキウキし過ぎないほうがいいよ。

 


という自身への戒めにもなります。

 

 

 

 

 

また、
この基準価額騰落の要因分解は、別の理(ことわり)も示唆してくれるはずです。

 

あれ?
最近、世界の株価はずいぶん上昇したはずだ。
なのに、ファンド価格はほとんど上がっていない。
あー、そっか。これは為替が総じて「円高」に振れて、株価上昇分と、為替の差損分が拮抗してしまったために起こったことなんだ。

 

という、内部分析が自分の中で出来ます。

 

つまり、
為替の影響
ファンド価格が上がらなかっただけで、

そんなにクヨクヨする必要はないよ。
という自分への励ましにすることができるわけです。

 

 

このような意味合いで、
基準価額騰落の『要因分解』は重要と考えます。

 

 

あっ、
そういえば、

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の「最新の月報」(マンスリーレポート)では、

基準価額が前月末比で「+806円」と記載されているのみで、ファンド価格騰落の『要因分析』は為されていません。

 

 

 

画像元:月報(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

 

ぜひ、新たな項目として作られたほうがいいと思いますよ、三菱UFJ国際投信さん。

慢心は一寸の隙間から忍び寄るものですから・・。

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