投資信託あれこれ

名前は?大型株ファンド。御年61歳になる老舗の投資信託です

2023年3月7日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

数は本当に少ないのですが、
日本にも長い運用期間を誇る投資信託が存在します。

 

たとえば1961年12月に運用を始めた「大型株ファンド」。

人間でいえば(もう)61歳です。

 

 

 

 

当該ファンドは日本株のアクティブファンドで、

日本の金融市場に上場する企業のうち、
資本金100億円以上の会社の中から厳選して投資を行います。
(運用会社は大和アセットマネジメント)

 

運用管理費用(年ベース)は以下の通り。

 

 

 

むかしの株式アクティブファンドって
継続コストはぜんぜん高くなかったのです。

 

 

しかし、純資産総額が14億円程度しかないのは寂しい限り・・。

 

 

誰にも宣伝されず
誰からも検索されず、

ちょっと孤独に(それでも)黙々と運用を続けるこのファンドのことを、わたしは2年に1回くらい思い出します。← ホントです。

 

 

そういえば、
この4年ほどは、TOPIX(東証株価指数)を上回る成績を残しています。

 

 

 

 

投資信託という商品の奇妙なところは、

 

「そこそこ良い成績を残しているファンド」と、
「人気が出て資金流入が続くファンド」が
全然【一致しない】ところではないでしょうか。

 

 

さて、
61歳になる『大型株ファンド』も、

投資信託の長い歴史を振り返れば、
バージョンアップされた「投資信託」と云えるでしょう。

 

 

じゃあ、
バージョンアップ前の
より原始的な投資信託って?

 

はい、

それはそもそも投資信託ではなく、
単なる『ファンド』だったのです。

 

 

単なるファンド?

 

はい、

投資信託では
『ファンド内の資産』はすべて、

第三者である
受託会社(信託銀行)が保管しますが、むかしはそうではなかったのです。

 

 

 

時は20世紀初頭のアメリカ。

 

 

 

まだその頃、

 

ファンドの運用を行う会社が「資金の管理」も行っていました。

 

仮に『ABCファンド』を運用する会社の中に、
フォードさんとゲイツさんが居たとしましょう。

(彼らは運用資金の管理責任者です)

 

 

以下、あくまでフィクション!

 

フォードさん
「今週はファンドに400万ドルの資金が入ってきましたよ」

 

ゲイツさん
「ほおー、それは好調ですね」

 

 

フォードさん
「ここだけの話、ここから5万ドルくらい上手く抜いても分からないんじゃないかな」

 

ゲイツさん
「えっ、何言ってるんですか」

 

 

フォードさん
「いや、数字をちょっと操作するだけです。大丈夫、誰にも見つかりませんよ」

 

 

みたいな会話が、

20世紀の初頭、アメリカのファンド運用会社で交わされていた可能性があるのです。

 

 

 

 

 

 

実際、その頃、ファンド運用会社による『不正事件』がいくつも発生し、それを教訓として、

 

ファンド資産を管理する会社と、ファンドを運用する会社は厳格に「区分」されるようになります。

 

 

つまり?

運用会社は運用に専念し、ファンド資産は受託会社が分別管理する体制となったのです。

 

 

正確にいうと、
運用会社が ファンド資産 を受託会社に「信託」するようになったわけです。
こうすれば、運用会社の『倒産リスク』も隔離することが出来ますね。

 

だから、投資・信託。

 

 

そしてもう一つ。

今日の主役「大型株ファンド」は61歳ですが、こんなことで驚いてはいけません!

 

欧米では、
大恐慌、2度の世界大戦、冷戦構造、悪性のインフレなどを乗り越えてきた「ご長寿ファンド」が多数存在します。

その中から3つご紹介しましょう。

 

JPMorgan American Investment Trust
設定は1881年。

 

 

 

 

Dunedin Income Growth Investment Trust
設定は1873年。

 

 

 

 

The Scottish American Investment Company

こちらも設定は1873年。

 

 

 

上記「スコティッシュアメリカン」は現在、債券とREITに10%強投資していますが、その他大部分は世界の株式に投資を行っています。

 

以下図表をご覧いただくと、
価格は「p」すなわちポンド建て。(イギリスの投資信託であるため)

また、

Ongoing Charges  0.62%

となっており、
年間の継続コストは0.62%程度なのです。

 

 

 

 

もちろん日本でも、あと70年、80年もすれば、運用期間100年を超える投資信託が続々登場することでしょう。

投資信託とは本来そのような金融ツールなのです。

 

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