確定拠出年金(iDeCo・企業型)

DC専用ファンドも巻き返しを図っていますが、商品ラインナップの抜本的な見直しが必要!

2023年1月15日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

でんさんのこちらのブログ記事で知りました。

 

 

 

野村アセットマネジメント(野村AM)は12月28日、企業型確定拠出年金(DC)専用の先進国株価指数に連動するインデックス型投資信託2本の運用管理費(信託報酬)を年0.154%から年0.1023%に引き下げました。

 

これは地味な動きですが、
大きな変化でもあります。

 

 

 

 

でんさんも言っておられますが、

信託報酬年0.1023%とは、

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドやeMAXIS Slim 先進国株式に並ぶ、業界最低水準のコスト比率となります。

 

上記具体例に限っていえば、

『DC専用ファンド』が、
いったん追い抜かれた「けいぞくコスト」水準において、
ふたたび『通常のインデックスファンド』に「追いついた」といえます。

 

 

あのー、投信業界ってちょっと変わっているのです。

 

同じ『インデックスファンド』なのに、

通常のインデックスファンド
―いわゆる特定口座で買えるインデックスファンドー と、

主に企業型の確定拠出年金のみで
品揃えしているインデックスファンドが、別々で違っていたりします。

 

大いなるムダが存在しているような・・

 

 

少しだけ時計の針を戻してみますと・・。

 

 

 

 

この10年の
インデックスファンドの歴史は、

『つみたてNISA』誕生前と誕生後に、大きく分けることが可能でしょう。

 

「つみたてNISA」誕生以前は?

 

企業型DC(企業型の確定拠出年金)の、
一部商品ラインナップが『羨望の的』だったのです。

 

でんさんの記事にある、
野村アセットマネジメントが運用する「外国株式インデックスファンド」もその一つでした。

 

 

信託報酬が「年率0.2%台」という、
当時としては
夢のような低コストのファンドが光り輝き、

 

「企業型DCの中だけにあって、
どうして一般には買えないんだ!?」

 

という嘆きの声が聞かれたものです。

 

 

 

 

「つみたてNISA」誕生前は、

一部のDC専用インデックスファンドは、
一般用のインデックスファンドに比べてより低コストだった。

 

 

ところが「つみたてNISA」の誕生(2018年)によって、一般のインデックスファンドの超低コスト化が一挙に進みます。

 

その結果、
企業型DCで扱われている(いわゆる)DC専用のインデックスファンドとそのコスト体系が、急にしょぼく見え始めたのです。

 

それだけではありません。

 

昨年から、
企業型DC加入者も原則、iDeCo(イデコ)に加入できるようになったため、例えばSBI証券のiDeCo商品ラインアップなどを通じて、

 

「なんだ? もっとコストが安いインデックスファンドってこんなにあるんだ。」

 

という事実が白日の下に晒されることに・・。

 

 

 

 

いわばDC専用のインデックスファンドは、

特定口座で普通に買えるインデックスファンドと、iDeCoで購入できるインデックスファンドの双方から『プレッシャー』を受けている状況なのです。

 

わたしは、

 

企業型DCの『商品ラインナップ』をアップデートしていかないと、どんどん世間から置いてけぼりを食らうと考えます。

 

 

ちょっと具体的に改善策
お話ししてもよいでしょうか?

 

 

〇 全世界株式型のインデックスファンドをラインナップ

 

個人的に企業型DCで
「全世界株式型のインデックスファンド」を見たことがありません。

 

 

〇 米国株式型のインデックスファンドをラインナップ

 

同上です(すでに「米国株式」は株式部門の一大カテゴリーとなっています)

 

と思っていましたら、
昨年末にこんなファンド(DC専用ファンド)が設定されていました!

 

 

 

 

〇 日本を除く全世界株式インデックスファンドのラインナップ

 

例えば「持ち株会」を通じて自社株(日本株)を保有するDC加入者にとっては、地味ながら一定のニーズがあると考えます。

 

 

 

 

〇 今の時流に合ったバランスファンドを品揃え!

 

企業型DCで品揃えされているバランスファンドは「旧世代型」がほとんど。

 

旧世代型のバランスファンドとは、
株式、債券それぞれにおいて「日本」が占める割合が高すぎるファンドを指します。

たまに「DC世界経済インデックスファンド」のような、グローバル分散型のバランスファンドも見ますが、きわめて少数です。 悲しい

 

あと、三菱UFJ国際投信、ニッセイアセットマネジメント、アセットマネジメントOneなど、各社で一般に品揃えされている、いわゆる『8資産均等型のバランスファンド』を、企業型DCでも積極的にラインナップするべきでしょう。

 

 

 

 

望むと望まざるに関わらず、
実に多くの人が企業型DCを通じてはじめて投資と出会われます。

その人たちに精一杯ベストの『品揃え』をすることが、
本当のフィデューシャリー・デューティー
(信認を受けた者が履行すべき義務)ではないでしょうか?

 

〇 関連記事
「専用」「一般」「共通」って何のこと? 確定拠出年金の不思議な扉を開けてみる

 

カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)

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