投資信託あれこれ

Slim 米国株式(S&P500)にあって、アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 にないものとは?

2023年1月5日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

日本で設定される公募投資信託は実に多様です。

 

が、
アクティブ型のファンドが長らく投信業界で中心だったのは事実でしょう。

 

 

逆にインデックス型のファンドはずっと

「マニア」向けの、
「マイナー」な投資信託でした。

 

それが間もなく変わるかもしれません。

 

 

 

 

2000本以上ある投資信託の中で、
もっともファンド規模が大きい = 最も純資産総額が大きいファンドが入れ替わろうとしています。

 

 

 

現在第1位の
アライアンス・バーンスタインのファンドは、

聡明な運用哲学を掲げ、
たっぷり継続手数料を徴収する、
典型的なアクティブファンドです。

 

現在第2位の、三菱UFJ国際投信のSlim 米国株式は、
市場平均であるS&P500指数との連動を目指す、
シンプルで超低コストのファンド。

 

 

少しだけ時間を遡りましょう。

 

2021年の『強気相場』の渦中で
両ファンドを比べたならば、
違いはあまりなかったはずです。

 

 

 

 

なぜなら、

米国株式が上昇を続ける中で、
両ファンドが保有する株式の価値(株価)もどんどん上がり、

黙っていても、
両ファンドの『純資産総額』は増え続けたためです。

 

 

また、
両ファンドの『ファンド保有者』とも、
自身の資産がどんどん増えるわけで、
ファンドを買い足したり、
ファンドを持ち続けることに
何の疑いも持たなかったはずです。

 

かくして、
ファンド資産を売って、
ファンドから資金が大量に流出するなんてことは起こらなかったわけです。

 

 

ところが 2022年。

潮の目が変わります。

 

 

以下は、
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 の、

直近5年間の

月次資金・流出、流入額のグラフです。

 

特に、21年と22年のグラフにご注目ください。

 

 

 

2022年に米国株式市場が大きく下落し、

 

月を追うごとに、当該ファンドを買って、
ファンド内に流入する資金額が、

当該ファンドを売って、
ファンドから流出する資金額に迫られている様が見て取れます。

 

22年の7月など、
資金流入額が流出額をギリギリ上回り、
かろうじてファンドの「純資金流入」をキープした格好になっています。

 

 

次に、
Slim 米国株式(S&P500)の、

直近5年間の
月次資金・流出、流入額のグラフです。

 

同じく21年と22年のグラフにご注目ください。

 

 

 

21年に比べると、
22年のファンドへの『純資金流入』は若干減っていますが、

 

それでも、
米国株式市場の大幅な調整に関わらず、

ファンド内に流入する資金額が、
ファンド外に流出する資金額を大きく上回る『趨勢』に変わりはありません。

 

これって・・・、つまり?

 

Slim 米国株式(S&P500)にあって、
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 にないものとは?

 

ずばり、
ファンド保有者の『胆力』です。

 

 

市場がアップダウンする中で、
ファンド価格が急変しても、

それを「当然通るべき、投資の一プロセス」と理解する、

投資家としての成熟度が、Slim 米国株式の保有者のほうが高いということ。

 

 

 

 

それは単純に、
Slim 米国株式の保有者のほうが我慢強いという意味ではなく、

 

(アライアンス・バーンスタインのファンドと比して)
投資の実行法として「積立投資」を選択する割合が高く、

 

その結果、市場の乱高下やファンド価格の急落を『チャンス』と捉えやすくなっているということです。

 

 

換言すれば、

毎月の「分配金」を当てにして、
かつ、ファンドの値上がり益を安易に期待する、

 

胆力が限られたファンド保有者に支えられているアライアンス・バーンスタインのファンドは、

株式市場が数年に渡って低迷し続けたりすれば、
ファンドからの『純資金流出』が顕著になる可能性が高くなるということでしょう。

 

もちろん、
今年2023年、株式市場が下落を続けてしまい、
かつ昨年と比して円高トレンドが定着してしまうと、

Slim 米国株式(S&P500)の保有者も、
投資家としての胆力が試されることになります。

 

投資信託という道具はまこと
ファンドの作り手とファンドの持ち手の『合作』なのです。

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