投資の発想法

わたしが不動産投資をしない理由 パート3

2022年12月30日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

パート1パート2からの連作です。

続いて、
わたしが収益不動産を買わない理由の「四つ目」

 

個人の不動産投資では実質、
投資対象が『居住用不動産』に限定されてしまうため。

 

 

 

 

もちろん中には
コインランドリー投資とか、
トランクルーム投資などが存在することは承知しています。

しかしこれらの不動産投資は、
供給量がきわめて少なく(=マーケット規模が極小であり)、流動性に乏しいです。

 

実際的には、
個人の不動産投資の場合、
ほとんどの人が『居住用不動産』を選択しています。

 

これってどうしてでしょう?

 

賃料収入(インカム)をもたらしてくれる不動産は、なにも居住用不動産に限りません。

 

株式や、債券の種類が多様であるのと同様、
不動産の形態(用途)は実に多種多様です。

 

まず、オフィスビルが大きな市場として存在します。

 

それから、
ショッピングセンター・ショッピングモールをはじめとした各種店舗・商業施設があります。

 

 

 

その他、
物流倉庫・物流センター、トランクルーム、旅館・ホテル・リゾート施設、

 

ヘルスケア関連(病院、介護施設、デイケアセンター、グループホーム、老人ホーム、医療・病院モールなど)、

電波塔、携帯電話基地局、データセンターなども立派な『収益不動産』です。

 

大所高所のところに戻れば、

 

不動産投資の目的は、
定期的収入(賃料収入)を得ることにあるはず。

 

 

多様な不動産の形態がある中で、

仮にですが、

〇 同じ投資金額で、
〇 同じ税負担で、
〇 同じ継続コストで、

 

〇 同じ賃料収入で、
〇 その賃料収入の確かさも向こう10年同じで、

〇 より期待利回りが高い(=より安く購入できる)、

 

居住用不動産『以外』の不動産が
仮に「売り」に出されていたとしても・・・

 

それら物件は総じて規模が大きく、
かつ売り出し価格も「桁」が違うため、

 

 

実質上、
個人の不動産投資家は、
『居住用不動産』に投資対象が限定されてしまうのです。

 

 

 

 

大阪舞浜のデータセンターも、

北区赤羽の2LDKのマンションも、

同じように上物(建物)を持つ収益用の不動産ですよね?

 

でも実際、
わたしにはデータセンターなど買えません。

(REITという持ち分の所有権以外。)

 

 

・・ここからは「もしも」の話です。・・

もしも、
同じ『上場株式』であるにも関わらず、

IT関連と、素材関係、
金融とエネルギーセクターは「売買単位」が高く(数億円以上)、

 

実質上、
個人が購入できる株式は、
小売、食品という業種に限られる

 

と言われたら、あなたはどんな気持ちになりますか?

 

 

 

それって、理不尽ではないでしょうか。

 

以下、まとめです。

わたしが収益不動産を買わない理由の「一つ目」

 

真の『立地の良さ』(あるいは悪さ)を、
正確に判断できる自信がないため。

 

「二つ目」

 

安く買える自信がないため。
または安く買える時期まで、待つ自信がないため。

 

 

「三つ目」

 

世界中に不動産は存在するのに、
現実的には日本の不動産に『選択肢』が限られてしまうため。

 

 

「四つ目」

 

多様な用途の不動産が存在するのに、
個人の投資では実質、
投資対象が『居住用不動産』に限られてしまうため。

 

つまり、
実物の不動産投資は「制約条件」が多すぎるのです。

 

 

 

 

ところで、

どうしてわたしは3回にわたって、
つらつらと『不動産投資』のお話をしてきたのでしょうか?

 

 

それは、当クリニックのお客様の中に
「不動産投資」にご興味をお持ちの人、
また実際に「不動産投資」を実践される人が少なからず存在するためです。

 

 

以下、偉そうな物言いとなり、
たいへん恐縮なのですが、

中には「不動産投資」を安易に捉えている人もおられます。

 

個人の資産形成では、
なにぶん「元手」(= 準備ができる資本)に限りがあるため、

不動産投資での停滞・低迷が、
投資信託での投資に
『マイナスの影響』を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

また、不動産投資は
『金額ベース』が大きくなるため、

不動産投資と並行して
投資信託の積立投資を実施しても、

 

トータルの運用資産ベースで見た場合、
結局、資産形成の成否は
「不動産投資」次第ということになります。← ココ、重要。

 

 

 

 

少々きつい言い方で恐れ入りますが・・・

 

不動産は一括投資のみであるため、

高く買ってしまえば、
粗利回りが劇的に改善することは望めません。

(出口のところでそれなりのキャピタルゲインが得られない限り。)

 

たとえ「満室経営」になっていても、
たとえキャッシュフロー的にはなんとか回っていても、

「これはちょっとキツイな」と感じつつも、
なかなか撤退にまで踏み切れないのが、不動産投資です。

 

換言すれば、
『失敗』が見えにくい投資と云えるのもかもしれません。

 

 

 

 

わたしは『仕切り直し』と呼びますが、

 

「全」運用資産を俯瞰し、
現在の不動産投資からの『撤収』も視野に入れ、大きく資産を入れ替える「勇気」も必要になるのではと感じます。

 

折しも日本銀行が
長期金利の誘導目標について、
『プラスマイナス0.5%』というふうに変動幅を広げました。

 

これは限りなく利上げに近い行為です。

 

 

時間はかかるでしょうが、
来年以降、日銀の更なる金融政策の変更が実施されれば、
不動産投資における、
投資家の要求収益利回りも修正されることになります。

 


(求める収益利回り「上昇」、不動産価格「下落」。)

 

個人の資産管理において、
不動産と有価証券(株式・投資信託)への投資は、決して別個のものではありません。

 

朝にベーコンエッグを食べ、
昼にまぐろ定食を食しても、
胃(全資産)の中では『一緒』になるのです。

カテゴリ:投資の発想法

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