投資の発想法

わたしが不動産投資をしない理由 パート1

2022年12月28日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

この仕事(FP)を始める前は
不動産会社で営業職をしていたため、
不動産には今でも興味があります。

 

実はコロナ禍以前は、
東京の港区芝浦というところに住んでいました。

都内にお住まいの方ならご存じの通り、
芝浦はJR山手線の「田町駅」が最寄り駅です。

そこから歩いて
10分位の場所にマンションを借りていました。

 

「良いところにお住まいですね。」
と言われたこともありますが、

―自分自身が芝浦に住んでいたため、忖度せずに言いますが、―

芝浦はもともと工場地帯だったのです。

 

 

 

 

 

例えば『芝浦アイランド』は、
もと三井の製糖工場や、都電の車両工場、操車場があったところです。

 

都内在住の
ある程度年配の方なら、
芝浦という場所(ロケーション)の原始的なイメージ(工業地域)をお持ちのはず。

 

 

ちなみにわたしが住んでいたマンションも
『準工業地域』に属していました。

いっぽうJR田町駅(西口のほう)から歩いて10分くらいで、三田の閑静な住宅街に辿り着きます。

 

例えば、
今イタリア大使館があるところ(三田2丁目)は、
江戸時代、松平家の大名屋敷があったところです。

 

 

 

 

 

JR田町駅から

〇 まったく同じ距離の、
〇 まったく同じ形状の、
〇 まったく同じ広さのマンションを借りたら、

 

20年前も、現在も、そして20年後も、
「芝浦」より「三田」のほうが賃料が高いはずです。

 

不動産とはそういうものなのです。

 

 

不動産の賃料には、
その場所固有の、
歴史的価値に裏打ちされた「プライス」が反映されます。

 

 

あなたがもしも
都心で『収益不動産』を探していて、

JR田町駅から
どちらも徒歩10分位だから、

同じ『収益力』(= 賃料を維持・発展させる力)があるだろうと「判断」するのは早計というものです。

 

 

不動産投資はしばしば
『立地』を買え。といわれます。

 

が、その『立地』を見極めるのは、
そうそう簡単なことではありません。

真の『立地の良さ』は、
ネットで調べた表層的な情報だけで、判断できるものではないのです。

 

 

 

 

その場所、その一画が持つ、
歴史文化的価値に裏付けられた、
定性的な『特徴』(良くも・悪くも)正しく理解する力が求められます。

 

不動産投資では「定性情報」がものを言うのです。

 

 

あなたがお住まいの市・町にも、ありますよね?

通りひとつを隔てただけで、
「雰囲気」ががらりと変わる・・

同じ町内でも、
3丁目と4丁目ではまったく環境が違う・・

 

 

〇 わたしが収益不動産を買わない理由の「一つ目」

 

それは、
歴史文化的価値に裏打ちされた
真の『立地の良さ』(あるいは悪さ)を、
正確に判断できる自信がないためです。

 

 

 

 

 

収益不動産を選りすぐり、
「これだ!」と思える物件を探し当てるのは、

優良な個別株式を見つけ出すのに似ているでしょう。
(究極のフォーカス = 一点投資なのです。)

 

 

先ほどの、
芝浦VS.三田の例でいえば、

「駅から10分じゃん。じゃあ芝浦のマンションを買おう!」と、不動産投資を始めたものの、

「賃料」を維持・発展させる力において、三田のほうがより優れた立地であるということを、あとから知っても遅いわけです。

 

また「ここは良い立地だ!」とあなた自身が判断しても、もしかすると見落とした『短所』を内包しているかもしれません。

 

 

〇 わたしが収益不動産を買わない理由の「二つ目」です。

 

安く買える、
妥当な金額で購入できる。という自信がないため。
または安く買える時期まで待つ自信がないため。

 

 

 

 

 

ここから少し話を単純化します。

仮にあなたが港区三田3丁目あたりの、
築16年の1LDKのマンションを探し当てたとしましょう。

 

月20万円の賃料で年間240万円の売り上げです。
もしもこの物件を3000万円で購入出来れば、粗利回り8%です。

が、同じ物件でも
6000万円で買ってしまえば、粗利回りは4%・・。

 

見える景色がぜんぜん違います。

 

 

実物不動産の長所は、
賃料(インカム)の『安定性』でしょう。

 

景気が悪化したとしても、
不動産賃料には下方硬直性がありますから、
滅多なことがなければ「値下げ」を要求されることはありません。

 

逆に、
毎年毎年の『消費者物価指数』の上昇に合わせて、それと同程度のパーセント「値上げ」を実現出来ればよいのですが、

日本の借地借家法では「賃借人」の権利が強いために、賃料を規則的に上げることがなかなか出来ません。

 

つまり、定期的な値上げは難しいが、

上例でいうところの
賃料月20万円、
年間240万円の売り上げの『安定性』はある場合、

 

その不動産を
「いくら(How much)で買えるか?」が、
不動産投資の成否を握ります。

 

 

 

 

3000万円(粗利回り8%)や、
2400万円(粗利回り10%)で購入できれば、高い収益力を維持できます。

 

逆に6000万円、8000万円で買ってしまえば、
出口においてそれなりのキャピタルゲインが期待できない限り、収益力は乏しいままで推移します。

 

 

いくら(How much)で買えるか?

つまり最初の『入口』のところで、
不動産投資の収益性は半ば決まってしまうのです。

 

 

なぜなら
実物不動産は『一括投資』のみで、
『積立投資』という選択肢はないためです。

 

また人口動態的に見て、
日本の不動産は総じて

キャピタルゲイン型(値上がり益)ではなく、
インカムゲイン型(賃料収入)の投資対象となります。

 

ですから余計に

『安く買えるかどうか?』が、
収益性を決するポイントになるのです。

 

 

 

 

 

ということは?

 

不動産価格が上昇し続け、
粗利回りが下がっている状況で
「収益物件」を買いに行くのは、
(実は)自分の首を絞める行為です。→ 収益力が下がるためですね。

 

 

逆説すれば、

「真に立地が良く」
   ×
「安く購入できれば、」

不動産投資は半ば成功が約束されたといっても過言ではありません。

 

が、そのような不動産投資家は果たしてどの程度おられるのでしょうか・・? 

続く・・。

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