ファンドの『総口数』が増える → 資金流入が続いている証し
2022年10月10日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託ってちょっと分かりづらい所があります。
何が分かりづらいかというと、
投資信託の『時価』の計算方法です。
ファンドの値段(基準価格)は毎日変わりますので、途中経過は忘れて「最新の価格」だけを気にしてください。
あとは、
これまで買ってきた『口数』の合計です。
(あなたがトータルで保有する口数ですね)
つまり、
・ファンドの基準価格は常に変わりますが、
・一度稼いだ口数は(売らない限り)減りません。
あなたの投資信託の『評価額』は?
【持っている口数】×【投資信託の価格】です。
「トータル口数」×「ファンドの最新価格」なのです。
次にこの『トータルの口数』を
ちょっと拡大解釈してみましょう。
仮に今、ABCファンドを保有する人が53,000人いるとします。
それらの人が【持っている口数】を全部合わせると、その投資信託の『総口数』(受益権総口数)となります。
53,000人を『総体』として見た場合、
ABCファンドをこの先「売る人」もいれば、
積立を通じて「買い増す人」もいますね。
『総口数』もアップダウンするわけです。
ざっくりのイメージですが、
ファンドの「解約」のほうが「買い付け」よりも多いと、『総口数』は減ります。
逆に、
ファンドの「買い付け」のほうが「解約」より多いと、『総口数』は増えます。
『総口数』の増減は、
ファンドへの純資金流入、純資金流出の「バロメーター」であるわけです。
不思議なことに、投資信託の基本情報では、この『総口数』(受益権総口数)の情報があまり重要視されていません。
ちょっと「具体例」を挙げてみましょう。
例えば、運用報告書(全体版)を時系列で見れば、『総口数』の推移はわかります。
(以下、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドから引用した画像です。)
= 資金の「純流入」の継続こそ、
当該ファンドが、ファンド保有者から支持されている『証し』ではないでしょうか?
わたしが見た限りでは、『総口数の推移』をグラフで示してくれているのは「さわかみファンド」くらいでした。
画像元:さわかみファンド「月次レポート」
あっ、もちろん、
ファンドの『純資産額』(純資産総額)が増えることも重要ですよ。
(大切な「物差し」です)
しかし『純資産額』は、
たとえ資金の【純流入】が続かなくても、
ファンド保有者から真に支持されているか否かは、『総口数の推移』を見ることではじめて分かるのです。
ぜひともモーニングスターさんあたりに、
ファンドの『総口数増加率のランキング』あるいは、
『総口数減少率ランキング』などの指標を作って欲しいなあと思います。
カテゴリ:投資信託あれこれ