ファンド保有者の質は、トータルリターンとインベスターリターンの比較で分かる?
2022年3月17日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
例えば、
設定来のAファンドの成績
(ファンドの「トータルリターン」)が
年率+8%だったとしましょう。
(インベスターリターン)は、
必ずしも同じ年+8%にはなりません。
投資信託が頑張って運用して
そこそこの成績を挙げても、
例えばファンド価格が急落したりすると、
ファンド保有者の中で
ファンドを途中で売ってしまう人が出てきます。
逆にファンド価格が高騰して、
例えばネット(SNS)上で大きな話題になったりすると、
そのファンドを(高いときに)新たに買い付ける人が出てきたりもします。
つまり「ファンド保有者」が
価格が高いところでたくさん買って、
価格が安いところでたくさん売ったりすると、
ファンド保有者の損益(インベスターリターン)はファンドの「トータルリターン」を下回ってしまうわけです。
逆の言い方をすれば?
さっそく『モーニングスター』で
具体的なファンド名を検索し、
リターンのタブをクリックし、
インベスターリターンをクリックしてみましょう。
画像元:モーニングスター
ハイ、
上記は eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の、
トータルリターンと、
インベスターリターンの比較グラフです。
(右端が「設定来」の数字です)
なんだかヘンだと思いませんか?
実はファンドの価格が下落し続ける局面でも
ファンド保有者たちが粘り強くファンドを持ち続け、
―たとえば2020年2月~3月のコロナショック時など。―
おまけに下落局面においても
継続的にファンドを買い付け(つみたて)し続けることで、
トータルリターンより
インベスターリターンのほうが高くなることが「ある」のです。
もうひとつ挙げてみましょう。
画像元:モーニングスター
こちらは ひふみプラス の、
トータルリターンと、
インベスターリターンの比較グラフです。
(右端が「設定来」の数字です)
ファンドのトータルリターンより、
ファンド保有者のリターン(インベスターリターン)がだいぶ低くなっています。
先述のように、
ファンド保有者のうち
価格が高いところで買ってしまう人や
価格が安くなると売ってしまう人が一定数いることで、
全体として見た場合、
ファンド保有者の『耐性』(持ちこたえる力)が低くなってしまうわけです。
これらは立派にファンド保有者の「特性」です。
あなたは、
〇 せっかちで移り気なファンド保有者が多いファンド、
〇 どっしり腰が据わったファンド保有者が多いファンド、どちらを購入したいですか?
ファンドを運用する人たち(運用会社)から見ると、
ほんとうはファンドの基準価格が大きく上昇していても、ホールドしてくれると運用がしやすいですし、
基準価格が大きく落ち込んでも、
持ちこたえてホールドしてくれると運用がしやすいです。
すなわち投資信託とは、
「作り手」と「使い手」の合作なのです。
あなたも一度『モーニングスター』で
トータルリターンとインベスターリターンを比較してみてください。
今回の話題、Twitterの「スペース」でもお喋りしています(^^)
今日は「インベスターリターン」と投信の「トータルリターン」についてお話します(^^)https://t.co/BLXoJvDnqz
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) March 11, 2023
カテゴリ:投資信託あれこれ