投資信託あれこれ, 金融機関にモノ申す

投資信託と、有店舗の大きな銀行・大きな証券会社の関係

2022年2月6日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

いきなりですが、

店舗のある大きな銀行や
大きな証券会社のほうが、

専門家の人もいて、
投資信託の種類も豊富で
どのファンドがよいかを親切丁寧に教えてくれてサービスも良さそう・・。

と、もし思っておられるなら、
それは【単なる誤解だと思います。】

 

以下、わたしの仕事柄、
わたしが見聞きした情報に限られることをご承知おきのうえお読みください。

 

店舗のある大きな銀行や
大きな証券会社で、

 

・こういう根拠をもとに
・こんなことを言われて
・あんな数字やこんな情報も見せられて、
「〇〇〇という投資信託がお勧めです」と言われました。

 

このような類の『お話』を、
わたしは立場上、それこそ数百とお聞きしてきました。

 

 

 

 

具体的な商品の勧め方などにおいて、
あるいは勧めているファンドが
どんな類の投資信託なのかという商品性において、

金融の専門家として『納得できる話』というものを、
わたしはほとんど聞いたことがありません。

(私見ですが、特に野村證券、大和証券、みずほ銀行という大手金融機関の販売姿勢は品性に欠けている印象が強いです。)

 

消費者の「知識レベル」と
商品提供側の「知識レベル」の差を利用して、

 

商品の提供側が
「自分たちのストーリーが通りやすい」
「自分たちが売りやすい」投資信託を売ってきている・・

 

これが有店舗の銀行、証券会社に対するわたしの私見です。

 

その一端は、
『販売額ランキング』上位のファンドを見れば分かります。

以下は「みずほ銀行」における、
投資信託『月間販売額ランキング』(21年12月度)です。

 

 

 

画像元:みずほ銀行 

 

対面でアドバイスを求める
どちらかというとシニアの富裕層に、

金額ベースでは一人当たり数百万円以上の単位で
『スポット』で購入を勧めている姿が目に浮かびます・・。

ちなみに上記トップ5のファンドの中に、
購入時手数料「ゼロ」のノーロード型ファンドは1本も入っていません。

 

 

続いて楽天証券です。『全銘柄・買付金額ランキング』

 

 

 

画像元:楽天証券  

 

だいぶ雰囲気が変わります。

上記は本年1月31日~2月4日分の集計分ですが、
低コストのインデックスファンドが上位にランクインしています。

 

・・好対照だと思いませんか?

 

 

時世時節と云いますが、この20年、
投資信託の販売において、

有店舗の大手証券・大手銀行から、
そのシェアを『ネット証券』が奪取してきた経緯が浮かび上がります。

 

別にネット証券が、
特別崇高なことを実践してきたわけではありません。

 

顧客の「声」に耳を傾け、
顧客の「利益」にかなうような投資信託の品揃えを拡充してきた。

 

ただ、それだけです。

 

『顧客の利益』にかなうとは、
投資信託の場合、具体的に何を指すのでしょうか?

 

 

 

 

運用期間が短く(かつ)予め決まっているファンドではなく、
長く運用を続ける意思を持ったファンド、
運用期間が無期限のファンドを紹介する。

そうしないと、
より大きな収益は実現しようがありません。

 

また、名目リターンから差し引かれるコストができるだけ小さい、
顧客にとっては手数料負担が小さいファンドを紹介する。

 

あるいは、一定の期待リターンに対して
背中に背負うリスクができるだけ小さくなる、
つまりはリスク・リターンの効率が良い、広範な分散を施したファンドを紹介する。

 

顧客の利益にかなうという意味では、
ファンドという『道具』だけでなく、

その道具の特性を生かすために、

 

ファンド保有者がどのように振る舞えば
自らの便益を高めることができるかという「投資家教育」にも力を注ぐ・・

 

 

今述べたような一連の取り組みのことを、世の中では、
企業努力 と云います。

 

ネット証券は
有店舗の大きな銀行、大きな証券会社に比べて
この企業努力を地道に行ってきたわけです。

 

 

 

私見ですが、

 

・メディアを通じて
醸成される『ブランド』のイメージと、
・有店舗の大手金融機関の現場、
実際そこで『何が為されているか』というギャップは、相当に大きいと感じます。

 

 

資産運用の前提となる
『窓口』をどうするか?

シンプルに
有店舗の大手金融機関は利用しない。と決められることが、
健全な資産形成の第一歩であるとわたしは思います。

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