運用会社さんへ。投資信託の「損益」の中身をもっと詳しく示して!
2021年10月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託の情報開示は
保険商品に比べると10倍くらい充実しています。
それでも
「もっと○○を△△してくれれば良いのに・・」と思うことがあります。
正確に言えば、
カウンセリングでの
お客様の「ことば」から気付かされるのです。
あっ、はい。
厳密にいえば載せている運用会社もあります。
以下、
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)の運用レポートからの抜粋です。
画像元:ピクテ投信投資顧問
上記のように
ファンド価格の「プラス」「マイナス」の『内訳』を、
その他要因(おそらく「継続コスト」でしょう)に分けて示してくれるのは有り難いですね。
続いて、
eMAXIS Slim先進国株式インデックス
9月末現在の月報(月次レポート)を覗いてみましょう。
過去1ヵ月の騰落率は・・
画像元:eMAXIS Slim先進国株式インデックス・月次レポート
「マイナス2.3%」と載っています。
が、その損益の『内訳』
株式の損益、為替の損益、けいぞくコストの費用分については載っていません。
ただ「-2.3%」だけです。
運用会社さんには、
投資信託の損益の『内訳』をもっと詳しく載せて欲しいもの。
〇 為替の要因が「マイナス7.26%」で、
―つまりは『円高』が進んだ。―
結果「マイナス2.3%」でした。というケースもあり得るわけです。
試しに
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの
『運用報告書(全体版)』も覗いてみましょう。
おっと、
「投資環境について」という項目が出てきました。
画像元:eMAXIS Slim先進国株式インデックス・運用報告書(全体版)
せっかく株式市況、為替市況の解説まであるのに、
それぞれの、ファンド損益への寄与度が「数字」として示されていません。
残念・・・。
これ、もったいない。です。
投資信託の成績の『内訳』を
継続的に開示することは、
ファンド保有者がマーケット構造を深く理解することに役立ちます。
また、投資信託という商品の「仕組み」の理解にもつながります。
先のピクテのファンドのように、
ほんとうは毎日、毎月、
運用管理費用がファンドの損益の『費用部分』として、
計上されていることを知ることにもつながるのです。
これは一昨日の記事に関連しますが
特に『為替の影響度』を知ることは重要でしょう。
今のような円安局面では、
為替の「差益」が発生しますが、これは『おまけ』のようなものです。
株式部分、あるいは債券部分
つまり本筋のリスク資産の「損益」をまずは注視することが重要なのです。
運用会社さんには
まずは月次レポート、マンスリーレポートにおいて
投資信託の損益の『内訳』をもっと詳しく載せて欲しいと思います。
カテゴリ:投資信託あれこれ