投資信託あれこれ, 経済よもやま話

最近の円安傾向と、ファンド価格の変動「4つのパターン」について

2021年10月18日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

久々に円安が進行しています。

米国の株式市場も上昇を続けており、

 

「あれ?なんで先進国株式インデックスファンドの価格、こんなに上がっているの?」

 

と不思議に感じる人も多いのでは。

これは、株価↑ 円安↑ のパターンです。

あなたのリスク資産を「円建て」で見ると、
ダブルで資産価格が上昇する現象です。

これを「パターン1」としましょう。

 

「パターン2」はこれとは正反対。

ちょうど2008年リーマンショックが起きたとき、

株価↓ 円高↓ で、
円建てで見た場合、ダブルで資産価格が下落しました。

株価が暴落しただけでなく、
急激な円高進行によって為替の「差損」も膨らみ、
文字通りダブルパンチでファンド価格が沈んでしまったのです。

・・辛かった。。)

 

 

為替は予測がきわめて困難です。
また為替のリスクはときに「大きな波」となるため、

「やっぱ日本円の資産を多めに持とうか・・」
具体的には日本株式、日本の不動産(REITなど)の比率を高めようかな、と思い始めるのは、ちょっと違うと思います。

インデックス投資の醍醐味は
日本という「一ヵ国」に住みながら、
超絶グローバルに(しかも低コストで)リスク資産が持てること。

 

この広範な分散のメリットは
為替のリスクを十分上回ります。

 

 

日本への投資は基本、
「時価総額の比率」に基づくもので
特別な意味を持つものではありません。

この「冷めた感覚」は特殊なものでもなんでもなく、
ノルウェー人もシンガポール人もメキシコ人でも、

自国を特別視せずグローバル投資を行う者は等しく
『為替リスク』を背中に引き受けています。

 

 

つまりは・・・、

「パターン3」
株価そのまま 円安↑ 

「パターン4」
株価そのまま 円高↓ 

両方とも起こるよね・・と納得済みなのです。

 

基本、通貨の上がり下がりは、
「一定のレンジ内」での出来事です。

それに対して、世界株式の期待リターンは「プラス」であり、少なくとも過去は右肩上がりを実現してきました。

 

総じていえば、
株式の期待リターンのほうが、
為替変動の大きさ(リスクの大きさ)より大きい。という解釈です。

 

 

 

もちろん、やってはいけないのは、
「円高」局面で
自身のリスク資産を大きく売却すること。

※この時はじめて「為替差損」が実現することになります。

 

そもそも、多くの人にとって
ファンド資産の大きな売却は「リタイア」後の話ですね。

それに、
リスク資産の『取り崩し』は一度に行うわけではありません。

 

長いセカンドライフの中でけっこう時間をかけて
「少しずつ」「長く」解約が続くとすれば、結局のところ、
円高の局面も、円安の局面も『両方』経験するわけです。

 

⇒ 結果「取り崩しの期間」が長ければ長いほど、為替リスクは均されることに。

(※これは「積み立ての期間」が長ければ長いほど、為替リスクが均されるのと同じ理屈です。)

 

 

ところで、
公募の投資信託には良い点がひとつあります。

それは、先進国株式インデックスファンドにしろ、
全世界株式インデックスファンドにしろ、

 

ファンド価格が『円建て表示』であるため、
過度に為替リスクを意識しないですむこと。

 

(実際、先進国株式ファンドの場合は100%、全世界株式ファンドの場合は94%程度「為替リスク」を負います。)

 

いっぽう米国上場ETFは
価格が「米ドル建て」ですから、
頭の中でどうしても、1ドル=114円とか換算してしまうわけです。

仮に今より更なる「円安」が進めば、
毎月ETFを買っていくのは心情的にちょっと「つらく」なるかもしれません。

 

外国為替という海は
プロのプレーヤーが虎視眈々と利ザヤを狙う「投機の世界」です。
短期的な動向は、わたしなどには皆目分かりません。

が、長期的には『円安論者』です。

 

その理由はシンプルで、
個人金融資産約2000兆円の大部分が
「まだ」「円資産」で保有されているためです。

 

 

皮肉ですが、日本人の資産防衛意識が高まることで、

―つまりは資産の分散を意識し、外貨建て資産を本格的に所有し始めることで、―
円安が進む可能性が高いのです。

仮に個人資産2000兆円の「20%分」400兆円のお金が将来的に、外貨や外国債券、外国株式などのカタチで持たれるようになると、
それだけで400兆円分の「円売り」「外貨買い」圧力になります。

円安が進むほど、資産の分散も進む。結果さらに円安が進むという構図です・・。

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