ひふみ投信の、長期保有者に対して口数を付与するサービスって未来的だと思う
2021年10月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託では
ときどき不思議なことが起こります。
Aファンドの直近10年のリターンが年率「プラス8%」なのに、
投資家のリターンは・・年率「プラス0.4%」に沈んでしまっている。
その理由は?
私たち投資家が
『長期保有』という華のない作業を放棄して、
無駄にファンドを売り買いしてしまっているためです。
バイ・アンド・ホールドは声高に叫ばれますが、
精神論だけではなく、
なにか具体的な「アメ」がないと、長期投資はなかなかに難しいのであります。
実は「ひふみ投信」では
5年以上、また10年以上ファンドを長期保有している人に対して、
『応援金』が付与されます。
応援金とは?
資産形成応援団(信託報酬一部還元方式)の仕組みにより、
お客様に還元される金額のことです。
5年以上保有されている口数分の資産残高に応援率(※)を乗じて算出されます。
年に2回(4月・10月)、
お客様に還元される金額(応援金)で
「ひふみ投信」または「ひふみワールド」を買付けして、お客様にお渡しします。
ひふみ投信 Q&Aより。
つまり『応援金』によって、
追加でファンドの買い付けがなされ、
その結果、ファンドの『口数』が増えるわけです。
ファンドを長く持てば持つほど、
『無料で・定期的に・追加投資』ができるということ。
(ピュアな「複利効果」も期待できますね)
具体的な『動機づけ』になり得ます。
(また、応援金は運用資産額のパーセントで付与されるため、
ファンドを多く保有すればするほど、追加で買い付けられる『量』も多くなります)
『長期保有』はファンド保有者だけでなく、
実は運用会社にも大きなメリットがあります。
ファンド保有者が長くファンドを持ち続けてくれると、
運用会社は『解約』に備えて余計なキャッシュを準備する必要がありません。
(つまり運用に専念ができ、運用効率も上がるわけです)
世の中では『ポイント投資』が花盛りです。
投資信託の積み立てをするだけでポイントが貯まる。
これはこれで良いことですが、
ほんらい「優遇制度」とは、
その商品を長く愛顧してくれている「感謝のしるし」であるはず。
であるなら、
商品ベースに絞ったさまざまな特典があってもいいですよね。
(余談になりますがわたしなど、
「eMAXIS Slim バランス」を500万口以上保有のお客様に限り、
8色ピザを模した特大キーホルダーを進呈!みたいな特典にグッと来てしまいます(笑)
スマホのアプリを起点として、
より間口を広くした形態に移行していくことでしょう。
そこでは各社が
「いかに長く商品を保有してもらえるか?自分たちのサービスといかに長く付き合ってもらえるか?」でしのぎを削ることになるのです。
ところで
バイ・アンド・ホールドのファンド保有者に報いようと、資産形成応援団のようなサービスを実施する「ひふみ投信」ですら、
昨年(2020年)は資金流出に悩まされました。
以下、「月次資金流出入額グラフ」です。
画像元:モーニングスター
が、今年に入って「純資金流入」に転じています。
ファンド運用会社がそのファンドの特質を唱え、
そしてファンドの運用哲学を訴え、
数多のファンド保有者にそれが染みわたるにはやはり『時間』が必要なのです。
カテゴリ:投資信託あれこれ