日本で投資信託が普及するために必要な5つのTips
2021年8月11日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
前回の続きです。
実は投資信託の歴史70年を振り返るよりも、
これからの70年を展望することのほうが何倍も重要でしょう。
日本人に普及していくために何が必要だと思いますか?」
わたしはこれからの70年、
かつてないスピードで
投資信託が普及すると考えます。
がしかし、それは
〇 真の自己責任社会が到来する『裏返し』でもあります。
投資信託というしくみは、
より良くなるポテンシャルを幾つも有しています。
あと必要なのは、人が実際に動きたくなるような
『インセンティブ』(動機づけ)ではないでしょうか?
向こう70年を担うファンドの保有者は「若い人たち」です。
投資信託との最初の出会いが
企業型の確定拠出年金であったり、
iDeCo(イデコ)であったり、
つみたてNISAだったりする人たちは、
そもそもファンドを購入する際に
別途「手数料」を支払うという感覚がありません。← これは良いこと。
『購入時手数料』を一律廃止すれば、
ファンドを販売する販売会社も
ファンドを「回転売買」させるインセンティブが消失することでしょう。
「教育資金を準備するためには?」
~まずは投資信託でつみたてよね。~
という新たな常識を創出すべきでしょう。
・未成年者も「証券口座」を開けること。
・教育資金の準備として投資信託がマッチすること。
(たとえば1/2貯蓄、1/2 投信積立 というハイブリット型もOK)
・幼い頃から投資に接するのは「良いこと」である。
という啓蒙が必要です。
ファンド業界も以下
マクドナルドCMの「3世代訴求戦略」に大いに学ぶべきでしょう。
(このCMは今年観た中で断トツ1位です)
自身の元本から
わざわざ運用会社に仕事をさせて
「元本払戻金」をもらう仕組みは早急に廃止すべきです。
投資信託の分配金は
自身の利益からのみもらえる(=普通分配金のみを「分配金」と規定)すれば、投資信託のリターンの明確化につながり、損益が導きやすくなります。
(そして毎月分配型ファンドはやがて絶滅することでしょう)
相続税評価においてはこれまで
不動産のみが優遇されてきました。
今後、投資信託が幅広く(かつ末永く)普及するためには、相続時の評価額の圧縮が欠かせません。
現在は『時価』評価となっていますが、
これを時価の80%程度の評価額に改めれば、
高齢者が(次の世代も考慮して)長く投資信託を持ち続けるインセンティブとなります。
これは投資信託そのものへの要望ではありませんが、
文字通りファンドを長く保有する、
強力な「インセンティブ」となるでしょう。
拠出限度額を月10万円程度とする。
また、課税口座で保有するファンドを売却する際は「譲渡所得」となり、現状一律20.315%が課税されています。
これを、投資信託の『保有期間』によって税率スライドさせるべきと考えます。
3年以上10年未満 30%
10年以上 20%
20年以上 10% のように・・。
最後に、どうして投資信託の普及を促進することが重要なのでしょう?
国側から景色を見れば 簡潔明快 です。
今後70年、
人口減少、超高齢化の進展により、
日本経済そのものがシュリンクし、
国の機能は縮小均衡していかざるを得ません。
個人に(個人の努力によって)
資産を増やしてもらわないと(実は)困るのは為政者自身なのです。
今後は国が背負う不確定リスクを100%被ってしまわないよう、
国民は別途のリスク(外国資産のボラティリティ)を背負っていくことになります。
『投資信託は自身の暮らしを維持するために必要。』
だからコツコツ積み立て保有し続けようという時代が間もなくやってきます。
カテゴリ:投資信託あれこれ