ちょっと油断すると、ファンド保有者の実質リターンはガクンと下がってしまうことに・・
2021年7月24日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託の継続コストって
ほんとうに分かりにくいです。
たとえるなら、
摂氏15度くらいで
ほんの少しずつ溶けていく氷(こおり)のようなもの。
少しずつ溶け続ける
(=引かれ続ける)ので実感しにくいのですね。
ウォール・ストリート・ジャーナルで
以下のような記事を見つけました。
「【バロンズ】投資家にとって最高のファンドとは」
〇 ファンドを保有する投資家の『実績リターン』は異なります。
私たちファンド保有者は
購入時の手数料を払ったり、
けいぞくコスト(運用管理費用)を払ったりするためです。
おまけに短期で
ムダな売り買いをしてしまう人もいます。
上記記事内では、
米国モーニングスターの【調査】が挙げられています。
分散型株式ファンドの
2016年12月31日までの
10年間における年率の『投資家向けリターン』
(=経費など控除後の投資家全体のパフォーマンス)は、
投資家の『実績リターン』が4.59%だったのに対して
「1.2%ポイント」以上の差があったそうです。
ナント・・。
諸々のコストが低いファンドですら、
投資信託自体のリターン(名目リターン)に比べて
1%以上劣後していたのですね。
けいぞくコストである
投資信託の『運用管理費用』は、
ファンド資産そのものから毎日少しずつ差し引かれます。
上記は日々の微風のように気付きにくく、
かついつの間にか、
自身の背丈が縮んでいくような「恐ろしさ」も孕んでいます。
上記記事より引用してみましょう。
コストの高いファンドでは、
ファンド自体のリターンが
4.34%だったのに対して
投資家のリターンはわずか1.78%で、約2.6%ポイントの差があった。
嗚呼・・。
これでは投資家側の【取り分】が少なすぎますね。
〇 継続コストが大きいと、
ファンド運営側の取り分が大きくなります。
〇 継続コストが小さければ小さいほど、
ファンド保有者の取り分が増すことになります。(所詮、奪い合いなのです)
運用管理費用で1.6%コストを払っていると、
ファンド保有者の『実績リターン』はマイナス21.6%にもなってしまいます。
マーケットが暴落した際に
ファンドの名目リターンに近い実績リターンで損失を最小限に留めることができる、ということなのです)
さて、あなた自身の『実績リターン』を上げるためには?
意味のない売り買いをしない(=できるだけ長く持ち続ける)
税制優遇制度を利用する。
運用管理費用ができるだけ低い投資信託を選ぶ。
最後に一点ご注意を。
カウンセリングでも繰り返しお伝えしていますが、
けいぞくコストの高さと、
ファンドの名目リターンの高さの間には
なんの「因果関係」もありません。
スタートラインに立つ心構えとして、
コストが低い投資信託を選ぶことが(まずは)正解なのです。
カテゴリ:投資信託あれこれ