投資信託の「分配金」と投資信託の「部分解約」って、どう違うのですか?
2021年7月16日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
原理的にまったく別物と思えてしまうもの。
それは、
投資信託の分配金と
投資信託の部分解約です。
ホントにそうなのでしょうか?
〇 ファンドの「基準価格」は変わりませんが、
ファンドの「口数」が減ります。
『分配金』を受け取るケース
〇 ファンドの「基準価格」が下がりますが、
ファンドの「口数」は変わりません。
あれ?
つまり?
あるいは
・分配金をもらった分だけ、
ココ、伝わっていますか?
投資信託の『価値』の出し方は
【計算式】で云いますと、
< 基準価格 × 口数 ÷ 10,000 > です。
今、あなたが投資信託を5万円分『解約』すると、
< 基準価格 × 口数 ÷ 10,000 >
口数が減る ↑ 要因です。
一方、あなたが投資信託の分配金を
5万円分『受け取る』ということは、
< 基準価格 × 口数 ÷ 10,000 >
基準価格↑が 下がる要因です。
また、
分配金(普通分配金)は『配当所得』であり、
ファンドの解約は『譲渡所得』にあたりますが、
どちらも税率は20.315%・・。
カウンセリングの中でもしばしばこの話題になるのですが、両者に「違う部分」はあるのでしょうか?
5万円分『解約』するのと
『分配金』を5万円受け取ることの違いは、
「信託財産留保額」の存在でしょう。
ファンドによっては「信託財産留保額」を課すケースがあります。
(「信託財産留保額」を課さないファンドもたくさんあります)
(分配金には、この種のコストは存在しません)
次に、運用会社の立場から見てみましょう。
たとえば、です。
運用会社が毎月「分配金」を出すというのは、
果たしてメインの仕事なのでしょうか?
NO、です。
運用チームは決まった額の『キャッシュ』をファンド資産内に常に準備しておく必要があります。
株式にフルインベストするほうが効率的であるような場合、これはまさに『機会損失』にあたります。
また「分配金」を頻繁に出してもらうことは、
運用会社にプラスアルファの仕事をさせることであり、
結果、あなたが高めの『継続コスト』を支払うことになってしまいます。
一方、ファンドを「部分解約」するとは?
こちらは運用会社にとってルーチン業務のひとつ。
(もちろん解約に備え『キャッシュ』を準備しておく必要はあります)
わたしは『分配金』と『定期解約』の
本質的な違いは別のところにあると考えています。
ファンドの分配金の『額』は、
あなた自身が決められません。
(運用会社が『主導権』を握ります。またある時突然、分配金の『額』を変えられてしまったりもします)
一方、ファンドの『解約』は
あなたに『主導権』があります。
〇 自分で「金額」を変更できます。
この『違い』って大きいと思いませんか?
投資信託からお金をもらうことは、
ほんらい『個人的なコト』です。
それを自分でコントロールできないより、
コントロール出来たほうが、
シンプルな資産管理につながると思いませんか?
『分配金』で定期的な収入を得るという発想より、
ファンドの『部分解約』を継続するほうがよほど合理的でしょう。
カテゴリ:投資信託あれこれ