リスクの大きさ(標準偏差)は、振り子時計でイメージ&学習しましょう
2021年6月30日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
リスクは定量化することが大切。
できれば客観的な数字で把握したほうがよいと、
昨日の記事でお話しました。
リスクとは一見大きな塊ですから、
一人ひとりの『直感』に従うと、
「嗚呼イヤだ、とっても怖いよ!!」という心持ちになり、
合理的に見えるリスクの取り方が
「いや、でも違う。ホントは危ないでしょ!」と思えてしまうのです。
たとえば
投資信託を自分で買ったことがない人は
自身の直感(リスクイメージ)が優先して、
「それってもしかすると、
わたしのお金がゼロになっちゃうんでしょ!」という言い方をされます。
インデックスファンドを保有すれば、
背中に引き受けるのは『市場リスク』のみです。
・株式市場がマイナス28%になれば、
・その株式インデックスファンドもマイナス28%程度になる。
おわり。)
人類が完全原始社会に回帰して、
株式市場の価値がゼロにならない限り、
株式インデックスファンドの価格がゼロになることもありません。
もしかすると、
自分のお金がゼロになっちゃうのは「個別株」への投資です。
・自社株(個別株)を購入することと
・先進国株式ファンドを保有することが、
さて、昨日はこちらの図表で『リスク17.8%』を、
画像元:アセットマネジメントOne
「1標準偏差」のことなのです・・とお話しました。
でも、
リターンのブレ幅の大きさ、と言われてピンと来ますか?
ちょっと寄り道をしてみましょう。
(突然ですが、)
あなたは『振り子時計』って見たことがありますか?
今、この時計の「振り子」は真下で止まっていますが、
この真下あたりを、
あなたのポートフォリオの「リターン」としましょう(図表では7.9%でしたね)
これはあくまで『期待リターン』ですから、
今後起こるであろうリターンの期待値、
その『平均』に過ぎません。
今、
ポートフォリオの『期待リターン』がプラス7.9%です。
(これが ↑ 今の振り子の位置、
「真下」です・・)
『振り子』が振れるその「振れ幅」そのものを、
【リスクの大きさ】とイメージしてみてください。
画像元:アセットマネジメントOne
上記図表が示す『期待リターン』7.9%
『リスク』17.8%とは、
ちょうど真下に位置する期待リターン「プラス7.9%」から、
良いほうに、
つまり、
振り子時計でいうところの『右側』→ のほうに、
17.8%ブレるかもしれないし、
(プラス7.9%)
悪いほうに、
すなわち、
振り子時計でいうところの ←『左側』に
17.8%ブレるかもしれない、という「意味」なのです。
伝わっていますか?)
17.8%ブレる 17.8%ブレる
このようにリスクを数値化する試みが
資産運用の世界で始まって(実は)まだ70年も経っていません。
「数字」でリスクを把握したほうが、
ほんとうは安全なのですが、
たとえば2020年3月の『暴落時』のように、
マーケットがいたずらに動揺すると、
いったん安全な場所に資産を避難させるべき!
というあなたの『直感』がアラートを発し、
ほんとうは「Stay at Market」が合理的なのに、
『安心できない!』と、心の叫びが打ち勝ったりします。
「直感」と「理性」のシーソーゲームなのです。
さて、もとに戻りましょうw
さっきの、
期待リターンからのブレ幅の大きさ「17.8%」は、
期待リターン:プラス7.9%
マイナス側へ ← → プラス側へ
17.8%ブレる 17.8%ブレる
マイナス9.9% プラス25.7%
実は「おおよそ68%の確率で!」
という条件付です。
「じゃあ、カンさん。
およそ32%の確率で『1標準偏差』を超えてブレることもあると?」
はい、まさにその通り。
「リスク12.4%」と示されたとしましょう。
と解釈してしまうのは、とても(とても)危険です。
つい先日、去年の3月のことですが、
画像元:アセットマネジメントOne
上記ポートフォリオのリスクの大きさは
ゆうに17.8%(1標準偏差)を超えていました。
「2標準偏差」(35.6%)を
大きく超えるリターンのブレが実際起こっていたのです。
資産運用を行う「実際的なアップダウンのイメージ」を養うためには、
リスクの大きさを、
(少なくとも)『2標準偏差』で捉えるべきだと考えます。
たとえばロボアド運用の
「ウェルスナビ」さんのポートフォリオにおいて、
「リスク12.4%」と表示されたら、
これだと背中に背負うリスク量は、
最低 12.4%× 2 = 24.8% くらいになるんだなと合点するべきでしょう・・。
カテゴリ:投資の発想法