投資信託あれこれ

大恐慌が今日の投資信託のカタチを作った?

2021年6月6日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

昨日のお話の続きです。
ちょっと「おさらい」。

歴史の順番「1」

「クローズド・エンド型のファンド」は自ら株式市場に上場します。

大いに借入れを行い(=レバレッジを掛け)、
(市場に上場するため)「正味価値」と「取引価格」が混在します。
どちらかというと『ギラギラ系』です。

歴史の順番「2」

「クローズド・エンド型のファンド」のあとに出現した
「オープン・エンド型のファンド」は、それ自身は上場しません。
ファンドの正味価値のみが存在します。

どちらかというと『はんなり系』。

 

 

1929年の『大恐慌』で
「クローズド・エンド型ファンド」は大打撃を受け、少なくないファンドが運用を終了してしまいます。

 

換言すれば歴史的な大暴落が、
「オープン・エンド型のファンド」を台頭させたと云えるでしょう。

 

たとえばこんな一例です。

「ABCオープン・エンド型ファンド」が
組み入れる株式の時価、現金などを合計します。

そこから負債を引いて、それを「総口数」で割れば
ファンドの『正味価値』が算出されます。
これが、いわゆる「ファンド価格」です。

 

「オープン・エンド型のファンド」こそ、
いわゆる投資信託(ミューチュアルファンド)の原型なのです。

 

この型の「ファンド価格」は
マーケットが閉じたあと、
1日に1回算出されるのみです。

私たちは「オープン・エンド型ファンド」を
いつでも買い付けることが出来ます。
(『口数』を購入します)

そのお金は、ファンド内に直接流入します。

 

逆に、オープン・エンド型ファンド保有者は
いつでもファンドを売却することが出来ます。
その際、自分の『口数』を売り渡すことになります。

解約分のお金が直接ファンド内から出ていきます。

 

 

つまり、
「オープンエンド型のファンド」では
『口数』は常に増減するわけです。

(クローズド・エンド型のファンドでは予め『総口数』が決まっていました)

ファンドに直接現金が出入りし、
ファンドが「投資家」に対して
いつでも【オープン】な状態という意味合いで、

『オープン・エンド型』いう呼び方をします。

 

いつでも『正味価値』で
投資信託の売買ができるのは、
投資家にとって大きな「安心」になったはずです。

1940年代には、
米国において「オープン・エンド型ファンド」の資産額が、
「クローズド・エンド型ファンド」を上回るようになりました。

 

そして、もうひとつ重要なことが・・。

「オープンエンド型のファンド」は
『信託』のしくみを内包します。

 

前回、
かつての「クローズド・エンド型ファンド」では
ファンドの運用会社が、
ファンド資産も管理していました。と述べました。

 

 

そのため、横領事件が発生し、
また運用会社の倒産リスクが存在したのです。

 

仮に、ですが、ファンドの運用会社が
ファンド資産をわざわざ信託銀行に『委託』して、
その信託銀行がファンド資産を『受託』し保管するという、
「分担作業」が実現すればどうでしょう?

 

ファンド保有者からすると、
投資信託に関連する会社の
『倒産リスク』を考えなくてよくなります。

文字通り、ファンドがゼロに帰する心配をしなくてよくなるわけです。

 

今日、投資信託に関わる「3つの会社」は、

 

販売会社      ⇒ ファンドを販売する
運用会社(委託会社)⇒ ファンドを運用する
受託会社(信託銀行)⇒ ファンド資産を預かる

 

に分かれますが、

不思議なことに、
販売会社、運用会社、受託会社とも、
ファンド資産を『直接的に』保有してはいません。

ココが、今日の投資信託最大のメリット(素晴らしき効用)なのです。

 

最後の「おまけ」。

 

散歩途中でバラの花を発見!

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