早く「分配金」=「普通分配金のみ」になればいいのに・・
2021年6月2日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
正直に申し上げます。
投資信託に「分配金」という概念がなければ、
『ゼロから始める!投資信託入門』という書籍のページ数は「半分」くらいに圧縮できるでしょう。
なぜなら、
ファンドの基準価額=ファンドの『成績』となり、
パフォーマンス評価が断然シンプルになるためです。
投資信託をまだよく知らない消費者は、
『配当』がよく出る金融商品
=「分配金」が多い投資信託であると勘違いします。
これってけっこう罪深い「誤解」です。
個別株式の場合は基本、
利益の中から「配当金」を出しますが、
利益ではないところから、出てしまったりしています。
もちろん、
「定期的なインカム」を求める投資家がいることは承知しています。
しかしその場合も、
投資信託から出す『分配金』の定義を、
もう少し狭めたほうが良いのではないでしょうか?
日本の公募投資信託では、
利益ではないところから出すお金も、
利益から出すお金も
併せて「分配金」と見なしてしまっているためです。
たとえば、
米国の投資信託(ミューチュアルファンド)では、
投資家の元本を取り崩して
ファンドが「分配金」を出すことを認めていません。
米国の投資信託が云う「分配金」とは、
ファンド内で発生した配当や利息収入、
それに値上がり益の中から、
ファンド保有者に「利益相当」を還元するお金のこと。
また、イギリスの投資信託では、
値上がり益の中から「分配金」を出すことをそもそも認めていません。
(ファンドが組み入れる銘柄からの配当、利息のみ・・)
日本の投資信託では・・
利益から出す分配金を「普通分配金」、
利益ではないところから出す分配金を「元本払戻金」と云い、
(※従前は「特別分配金」と呼ばれていた。)
どちらも大きな括りで『分配金』と解釈されます。
画像元:ニッセイアセットマネジメント
上記図表を用いてお話ししましょう。
あなたの個別元本が10,000円だったとします。
投資信託の値段「基準価額」が11,000円のときに
このファンドが2,000円の『分配金』を出したとしましょう。
この、
分配金を出したあとの
基準価額9,000円は、←⑤のところ。
(11,000円-2,000円)
あなたの『個別元本』より安いですね。
『個別元本』より安い分、
つまり1,000円分の分配金については
「元本払戻金」という名の分配金となります。
利益ではないところから出す分配金!
残りの、
あなたの『個別元本』より高い1,000円分の分配金は
「普通分配金」という名の分配金になります。
利益から出す分配金!
・・複雑ですねw
複雑な制度は、誰の特にもなりません。
制度を維持するためのコストが上がって、
そもそも複雑であるために、その商品の使用を、
多くの人から遠ざけてしまいます。
投資信託は他に素晴らしい特徴を備えているので、
金融庁におかれましては一刻も早く、
ファンド保有者の利益からのみ出すことが出来る。
すなわち「分配金」=「普通分配金」というふうに、
制度をシンプル化していただきたいです。
そうすれば、
今よりクリアで澄み切った景色が広がることでしょう。
カテゴリ:投資信託あれこれ