投資信託あれこれ

投資信託の価格と、ひとつの会社の株価はまったく別物です

2021年4月29日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

投資信託の値段は
正確には『基準価額』と呼ばれます。

しかしわたしはブログでは
「基準価格」と記しています。

ファンドの保有者が、
投資信託の値段と聞いて想起するのは、
「価格」というワードであると考えるためです。

が、心の底では
「基準価格」という言葉も、

「えっ、何の『基準』のこと?」という違和感があります。

個人的には正式名称そのものを
『ファンド価格』に統一すべきと感じています。

 

さて、そのファンドの「価格」ですが、
たとえば任天堂の『株価』とは本質的に異なります。

 

「えっ、どうして?」

任天堂はたとえるなら、ひとりの演者です。

『個人競技』、なのです。

 

 

任天堂という演者は毎日、
縦横無尽に動き回ります。

 

この人(任天堂)に、
どれだけ人気があるかで、つまりは需給によって
価格(株価)は上がったり下がったりします。

 

1日のうちでも大きくアップダウンしますね。

 

それに対して投資信託は
たくさんの演者を抱える『パッケージ商品』。

いわば『団体競技』なのです。

 

ここでは株式ファンドに絞ってお話をしますが、

ファンドという団体競技に参加する
各々の企業の『株価』の集積が、
「ファンドの価格」につながるわけです。

 

しかも、ファンドの価格って
ひとりひとりの演者の、
日中の『株価』はいちいち追わないのです。

各演者の1日の演技が「お疲れさま!」と終わったあと
まるで、参加者全員の記念写真を撮るように、

ファンドが組み入れるすべての演者の
その日の『終わりの株価(ラストポーズ)』のみを集計します。

 

 

より具体的には、

 

もし『日経平均株価インデックスファンド』を持っていれば、日本の225社の企業の「終わりの株価」と、保有する「株数」をそれぞれ掛け合わせ、
各々の株式から出る配当金や、
現金やCPを足し合わせ、負債があればそれを差し引いて、
そして(まだあります!)
そこから、その日1日分の
運用管理費用などを差し引いて、
やっと(たとえば)4月30日時点の
ファンドの『純資産の総額』が出せるわけです。

 

これが
その日の「投資信託の規模(大きさ)」です。

 

それ(純資産総額)を、
発行するすべての口数(総口数)で割って、
10,000を掛ければ、

その日の『ファンドの価格』となります。

 

 

一点注意が必要なのは、
任天堂の株の場合は、

買う人が増えると価格(株価)が上がっていきますが、

『投資信託』を購入する人が増えたからといって、
ファンドの価格が必ずしも上がるわけではない、ということ。

(逆に下がることもあります。)

もうひとつ。

その投資信託を売る人が増えたからといって、
ファンドの価格が必ずしも下がるわけではありません。

 

その理由(わけ)は、

 

『株式ファンドの価格』を決めるのはファンドの需給ではなく、
ファンド内に組み入れた何百という
個々の企業の株価の『集積』であるためです。

 

たとえば、一例ですが、

 

「ひふみ投信の基準価格って、もう高すぎるよね」という日本語は(やはり)どこかヘンなのです。

 

もし問い掛けるとしたら、

「ひふみ投信が組み入れる268社の会社の株価って、もう高すぎるよね」と、なります。

ん?あなたはどう思いますか?

 

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