iDeCoは運用資産を持ち運べますが、つみたてNISAはそれが出来ません
2021年4月24日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
iDeCoとつみたてNISAの違いで
意外と知られていないのが、
資産の『持ち運び』ができるか否か。
これを、ポータビリティ(portability)と云います。
iDeCoは確定拠出年金のひとつです。
したがって
企業型の確定拠出年金のほうで積み立てた資産を、
(いったん現金化はしないといけないのですが、)
そのままiDeCoへ『持ち運ぶ』ことができます。
では、つみたてNISAはどうでしょう?
つみたてNISAはNISA制度のひとつですが、
『一般NISA』で積み上げた資産を、
つみたてNISAに『持ち運ぶ』ことは出来ません。
逆に
つみたてNISAで積み立てた資産を、
一般NISAに『持ち運ぶ』ことも出来ません。
同じNISA制度でありながら、
それぞれ別個の制度設計になっているためですね。
ちょっと脱線します。
運用相談でよくいただく質問なのですが、
そんなことはありません・・。
2022年からつみたてNISAに移行したとしても、
従前の一般NISAで保有する商品は、
2.特定口座に移行させ、持ち続けることも出来ます。
ここは、
一般NISAとつみたてNISAが
別個の設計になっているのを逆に利用して、
つみたてNISAに移行したとしても、
従前に一般NISAで持っていた商品は『特定口座』に移行させ、
そのまま持ち続けたほうがよいと考えます。
ところで、確定拠出年金ですが、
制度の大きな改正が来年(22年)10月に実施されます。
もれなくiDeCoにも加入できるようになるのです。
(※ただし「マッチング拠出」を選択しない場合)
これまで
iDeCoと企業型DCは
仲がよくない親戚みたいな感じでしたが、
これを機にiDeCo、企業型DCという『小異』を超えて、
「確定拠出年金という大きな器」に
両制度を入れ直そうという意図が見て取れます。
いっぽう、残念ながらNISA制度のほうでは
そのような『大局観の提示』は見られません。
つみたてNISAを拡張させ存続させるが、
資産形成層にとってはベストの選択だと思っています。つみたてNISAの拡張とは、非課税期間の恒久化と、年間投資限度額の積み増しを指します)。
さて、話の矛先を変えましょう。
次は『窓口の変更』についてです。
iDeCoでは窓口となる金融機関のことを
『運営管理機関』と呼びます。
楽天証券でiDeCoをやっていた人が、
マネックス証券にiDeCoを移したいとします。
移行にそれなりに時間がかかり(2、3ヵ月)
運用資産をいったん『現金化』しないといけないハンデはありますが、
はできるわけです。
いっぽう「つみたてNISA」はどうでしょう?
『SBI証券』でつみたてNISAをやっていた人が、
『楽天証券』につみたてNISA口座を移すことは出来ます。
楽天証券の
『NISA口座金融機関変更方法のご案内』のページから引用してみますと・・。
現在NISA口座をお持ちの金融機関より
「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」の取得が必要です。
提出書類は原本のみ有効です。
なお、当年一度でもNISA枠を使用すると、
その年の10月以降でないと変更手続きができませんのでご注意ください。
上記ケースの場合、
楽天証券(つみたてNISA)に『持っていくこと』は出来ないのです。
2022年からは
楽天証券でつみたてNISAを始めたとしても、
たとえば2019年、20年、21年と、
SBI証券でつみたてNISAに投資をしていれば、
その運用残高は
あくまでSBI証券での管理となります。
ここ、伝わっていますか?)
つまり、つみたてNISAでは
何度も何度も「窓口」を変えてしまうと、
資産管理が限りなく複雑になってしまうということ・・。
最後に、
以下モーニングスター『つみたてNISA総合ガイド』からの画像ですが、
つみたてNISAの『取扱い本数』においては「上位6強」が鮮明です。
わたしはSMBC日興証券は評価しませんので、
上位『5社』の中から
つみたてNISAの口座を選んでおけば、あとから慌てたりすることはまずないでしょう・・。
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カテゴリ:NISA活用法