金融機関にモノ申す

Root(ルート)は、あなたの運転のしかたに基づいて自動車保険料を算出する保険会社です

2021年4月2日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今日はクルマのお話を・・。





毎日どこかで自動車の事故は発生していますね。

ただ、たくさんのデータを集めることで、
おおよその『事故率』を導くことができます。

損害保険会社はその事故率をもとに、
自動車保険の保険料を算出しています。


わたしも若いとき
自動車保険のお世話になりましたが、
わたしの『保険料』を算出するために、

わたしは自分の年齢、住所、性別、既婚かどうかなど、
自分の属性を『データ』として提出していたわけです。

でもこれは「前時代的なデータ収集」と言わざるを得ません。


外的要因の部分を除けば、

 

結局のところ
あなたがどのくらい事故を起こしやすいかは、
あなたの日々の「運転のしかた」にかかっているわけです。


そうですよね?)


損害保険会社から見れば、
保険契約者の日々の「運転のしかた」というデータが(これまで)不十分だったために、

日頃、粗悪な運転をして事故を起こす可能性の高いドライバーのリスクの相当分を、健全な運転をしている優良ドライバーに「保険料」として支払わせてきた側面があります・・。

 


つまり、優良なドライバーほど
そのリスクファクターに比べて割高なコストを払ってきたわけです。


自動車保険も
医療保険も
製品として目指すべき『ゴール』は明快で、

 

それは究極的には、
保険契約者「本人」のデータを詳細に収集し、そこからリスク要素を割り出して、それを製品の価格(保険料)に反映させることです。

(AI時代となって、これが可能になってきています。
結果として保険料の二極化が進むのは間違いないでしょう・・)



少し間口を広げてお金(金融)全般で見ても
データ(情報)がある種の『エネルギー源』となって、
今後、金融サービスの革新が続いていくことになります(おそらく100年に1度くらいの大変化。)


今、日本の自動車保険では
ドライブレコーダー特約」が付いたものが売り出されています。

ドライブレコーダー貸出付の保険です。





もちろんドライブレコーダーがあれば
事故が起こった場合、詳細な状況が把握できます。

しかし、この特約の真の目的は?
あなたの日々の「運転のしかた」の掌握に他なりません。
(実際、この種の特約では保険会社へデータを提供することに合意する必要があります)

 


ところで
アメリカのルート(Root)という自動車保険の会社をご存じですか?

 



画像元:Root Insurance


以下文章に、
この保険会社の本質が要約されています。

 

Good drivers save more.

Drive with the Root app. While you drive, we gather and analyze data from your smartphone’s sensors. After a few weeks, you can get a car insurance quote based primarily on how you drive.

 

 

優良ドライバーはもっと節約できる。

Rootアプリでドライブしましょう。
あなたが運転している間に、
あなたのスマートフォンのセンサーからデータを集めて分析します。

数週間後には、
あなたの運転のしかたに基づいた自動車保険料の見積もりを得ることができます。

 

まさにパーソナライズされた保険のしくみの実現です。

 



 

「あなたが運転している間に、スマートフォンのセンサーからデータを集めて分析します。」の部分は、

保険契約の前に、
Root Insuranceが Rootアプリを入れた状態で、あなたに『テストドライブ』を要求することを意味しています。


RootのTelematics、
つまり、スマホのセンサーから集められたデータを用いてリスクを予測する技術を、より合理的な保険料算出に生かしているわけです。

あなたの運転にスピード違反があるかどうか、急ブレーキを踏んでいないか、ハンドルの切り方、運転中にスマホを見たりしていないかなどなど、あなたの運転のしかたは網羅的にウォッチされるわけです。


「・・そんなのイヤですか?」



自分の情報をすべて見られるのが嫌なら、こういう金融サービスは利用しないでおきましょう。

それとも、優良ドライバーのあなたなら、より安い保険料のほうに魅力を感じますか?

この「見せる」「見せない?」の問い掛けは、AI時代の金融サービス全般に云えることなのです。


少し飛躍したモノ言いをご容赦ください。

 

アプリを介した次世代型の金融サービスでは
あなたやわたしの個人情報は『原材料』となるため、
「情報」を提供すればするほど、サービス本体の価格は安くなります。


(ちなみにこちらの資料によれば、
Root Insuranceの顧客は、従前の保険契約に比べて平均1,142ドル(年間)保険料を節約できるとしています)

 

最後に、クルマが「全自動運転」かつ「シェアリング」になれば、
長期的には、
自動車保険に入るという概念もなくなってしまうことをお忘れなく・・。


『関連記事』です。

給与を振り込む口座が、銀行でなくなる日(金融ビッグバンの始まり!)
〇 お金の自動運転が可能になる日(Self Driving Money)

カテゴリ:金融機関にモノ申す

おすすめの記事