金融機関にモノ申す

給与を振り込む口座が、銀行でなくなる日(金融ビッグバンの始まり!)

2021年2月18日


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今年(2021年)生まれた人は、
古い映画の『銀行強盗の場面』を見て
どうリアクションされるのでしょうか?

「えっ!これが実物のお金?」
「むかしって現物のお金があんなところに置いてあったの?」と驚くことでしょう。

 



世の中を見渡すと、
お金 = 電子的な概念に、日に日に近づいている気がします。

中国では「デジタル人民元」の流通がこれから本格化します。
(早晩、現物の紙幣や硬貨は、非常手段としてのみ生き残ることになるでしょう)


上記は何もお金に限ったことではありません。

私たちの生活そのものが
パソコンやスマートフォンの中ですでに完結しつつあります。

リアルな世界であっても、
電子的な空間に飲み込まれ、そこで再秩序化され、

実在のアナログなモノ、コトも、
ほんとんど電子上(オンライン上)で管理されてしまう・・


これはもう、必然の流れなのです。

(※余談ですが、
半径500メートル以内に監視カメラが設置されていない「バー」などは、その場所そのものが逆に『何らかの付加価値』を持つことになるでしょう)


 

さて、お金の電子化は
金融のしくみも根底から揺さぶることになります。

たとえば『銀行』です。

電子マネーが普及し、
モバイルでの決済が当たり前になると、

あなたのお金の置き場所は
別に『銀行の・口座』でなくてもよくなります。

何しろお金は電子的な概念なのですから。



先日、Moneytree(マネーツリー)の解説をしましたが、
資産管理のアプリが目指すところも(究極は、)

あなたの電子マネーの『置き場所』になりたい!
というもの。


これは横浜銀行であれ、
マネックス証券であれ、
PayPay銀行であれ、大和証券であれ、
みずほ銀行であれ、LINE家計簿であれ、楽天payであれ、みんな同じなのです。

できるだけ多くの
あなたのお金の、
メインの『通り道』になりたい!

でもって、
できるだけ『長く』
あなたのお金に滞留してほしい!と願っています。


(すべての金融サービス会社が↑
上記競争をひたすら繰り返しているといっても過言ではありません)

 

「えっ、でも給与は銀行の口座に振り込まれるっしょ?」


はい、たしかに。

これまで給与の振り込み先は
独占的に『銀行の、口座』でした。

また、お金の送金、受金、口座振替、外国為替、お金の借入れなども、窓口としてはほぼ『銀行』が独占してきたのです。


でも、それも過去のものになるかもしれません。

日経新聞記事
『給与デジタル払い21年春解禁、銀行口座介さず 政府方針』



 

企業は銀行口座を介さずに
従業員のスマートフォンの決済アプリなどに振り込めるようになる。


このたった↑2行の文章。

衝撃ニュースだと思いませんか?


上の記事は
『銀行が、お金のメインの通り道ではなくなる』と云っています。

みなさん、ココ、もっと驚くところですよ!


電子マネーの管理に長けた金融サービス会社が、

・それこそ『ポイント制』を通じて、
・他の『eコマースのサービス』も抱き込みながら、

より多くの人の
給与受け取り『口座』となり、

かつ、そこに長く滞留してもらえるよう、
各種金融サービスを紐づけていけば、
その会社こそが、21世紀の金融覇者になる可能性を秘めているとわたしは思います。

 


ポイントは、
給与の、受取り窓口になれるかどうかなのです。




たとえば仮の例ですが、

ソフトバンクの社員さん→PayPayで「給与受取」
→銀行ではなく電子決済アプリが「メインのお金の通り道」になる。
→そこから各種金融サービスを派生させれば・・

 

ということも考えられるわけです。

 

また、その各種金融サービスを充実させるために
今後、スマホ決済のサービス会社が、

投資信託の運用会社を買収することがあるかもしれません。
地銀を、証券会社を、FXの会社を吸収することがあるかもしれません。


8割以上の空間をいったん消しゴムですべて消して、
新たな「業界地図」を描き直すような
ほんとうの『金融ビッグバン』がこれからやってくる気がしませんか?


一旦金融の地図が塗り替えられたあとは、

銀行も、証券も、預金という言葉も、
冒頭の銀行強盗と同じように死語になっているかもしれません。

 


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