iDeCoは運用の「軌道修正」がしやすく、つみたてNISAは運用の「軌道修正」がしにくい
2021年2月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
最初、ハードルが低く感じるのは
(iDeCoよりも)つみたてNISAのほうでしょう。
申し込んでスタートするまでの時間も
つみたてNISAのほうが早いですし、
制度の申し込み時に手数料がかかるわけでもありません。
(iDeCoは手数料がかかります。)
選べる商品ラインナップも(iDeCoよりは)多いですね。
※楽天証券、SBI証券などを窓口にえらんだ場合。
そもそも「入り口」が
iDeCo、つみたてNISA、課税口座(特定口座)と分かれていても、
中でやることは変わらないわけです。
〇「つみたて投資」をする。
しかし、
運用資産のメンテナンスのしやすさは(実は)だいぶ違ってきます。
仮にあなたが特定口座で
『Aファンド50%、Bファンド50%』の配分で運用を行っているとしましょう。
が、『特定口座』で500万円規模の運用資産になると、
リ・バランスが少し「つらく」なってきます。
たとえば『Aファンド60%、Bファンド40%』のように、
自身のポートフォリオから10%ズレが起きたとしましょう。
・毎年「3月」にリ・バランスするあなたが、
・「割合」が下がったファンドのみを買い増しして、リ・バランスをしたいと願います。
つまり、売りを伴わないリ・バランスです)
あっ、↑ 出来なくはないんですよ。
今の場合だと運用資産が500万円で
10%ズレているわけですから、
50万円ほどBファンドを買い増しするわけです。
1回くらいは良いかもしれませんが
次回も同じ方法で『リ・バランス』をすると、
手元の安全資産がどんどん減っていくことになります。
これは「健全な姿」ではありません。
つまり、運用資産が一定規模以上になれば、
特定口座での『リ・バランス』は、
・割合が増えたファンドを一度に売り、
・割合が減ったファンドを一度に買い増しする必要があるのです。
税金(TAX)という存在を意識しすぎて、
「もったいない!」と感じてしまうと
特定口座では効率的な『リ・バランス』が出来なくなってしまいます。
(当クリニックでは税金というコストを払ってでも、
一度に売って・買っての『リ・バランス』をやるべきと考えます!)
今とまったく同じケースを想定します。
ポートフォリオ『Aファンド50%、Bファンド50%』
iDeCoで運用していて
「Aファンド60%、Bファンド40%」となり運用資産は500万円。
ここで、
利益が出ているAファンドを10%分売っても、
イデコ(iDeCo)では課税は繰り延べされますから、
売却した50万円分まるまる、
イデコ口座内でBファンドの買い増しに充てることが出来ます。
<ココが、iDeCoが資産管理しやすいといわれる所以ですね。>
またまったく同じケースですよ。
ポートフォリオ『Aファンド50%、Bファンド50%』
つみたてNISAで運用していて
「Aファンド60%、Bファンド40%」となり運用資産は500万円。
ここで利益が出ているAファンドを10%分売る?
ハイ、売ることは出来ますが、
売った分(50万円分)については非課税枠を使い切ったとみなされます。
(これは真の意味で「もったいない!」)
さらに売却して戻ってきた「50万円」は
つみたてNISA口座外に払い出されてしまうので、
(つみたてNISA内で)Bファンドの買い増しには使えません。
あーあ(ため息。)
つまり?
資産運用の教科書には
資産の配分をきちんとキープしましょう。
そのためには定期的な『リ・バランス』が必要です、と書かれています。
その教科書的なことが出来ないというのは、
つみたてNISAの一大欠陥なのです。
定期的に『リ・バランス』を行うのに問題はない。
〇 つみたてNISAでは実質『リ・バランス』ができない。
となると、
iDeCo、つみたてNISAという「複数の窓口」で
「ひとつのポートフォリオ」を組成することそのものに、無理があるのがお分かりいただけますか?
実は一見複雑そうに見えて、
トータルの資産管理がしやすいのは、
iDeCo、つみたてNISAという「複数の窓口」で、
それぞれ「同じポートフォリオ」を作る。
そして『リ・バランス』は
いつでもiDeCoで実施するという戦略なのです。
大事なことなので、もう一度言いますね。
トータルの資産管理がしやすいのは、
それぞれ「同じポートフォリオ」を作るという戦略なのです。
「あのー、カンさん。わたし特定口座でも運用していますけど。」
ハイ、そういう人は
iDeCo、つみたてNISA、特定口座という「3つの窓口」で、
それぞれ「同じポートフォリオ」を作ります。
そして、iDeCo、特定口座のうち、
運用資産残高が多いほうの口座で
『リ・バランス』を実施するのが正解だと思いますよ。
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カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)