投資信託あれこれ

米国モーニングスターのファンド評価システムが変更された模様

2021年1月9日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

このブログでも、
モーニングスターのファンド評価システムについては
辛口の意見を述べてきました。

いわく、
「星の数によるファンド格付けは、
ファンドの過去の成績をもとにしていますよ」と。

 



わたしは見落としていたのですが、

米国モーニングスターでは
ファンドの評価基準を改定し、
新たな評価システムへ移行したという記事を見つけました。

Smart&Responsibleのこちらの記事です。
手数料、手数料、手数料!


念のため英語の記事にも当たってみました。

FJY FINANCIAL
Morningstar Shakes Up Fund Rating Systems: What Investors Need to Know

こちらは↑昨年1月の記事。

以下に興味深い記述があります。

Will provide investors with more accurate predictions about fund behavior.

(評価システムの改定が)
ファンドの成績について
より正確な予測を投資家に提供することになる。


つまり、これって?

これまで
過去の成績をもとにファンドを『評価』していたものが、

これから先の行動(成績)を
ファンド『評価』の軸にするという、
評価システムの根本的転換を意味していると思われます。

もうひとつ重要な点が以下。

Will give more weight to fees and change ratings for roughly 43% of mutual and ETF funds. Rating downgrades will outnumber upgrades by two-to-one.

(ファンド評価システムが)
より『手数料』に重きを置くものとなり、
およそ43%のファンド(ETF含む)において、評価のレーティングが変更になる。

レーティングがダウングレードされるファンドの数が、
アップグレードされる数の2倍になるだろう。


これも歓迎すべき改定ですね。

投資信託のパフォーマンス(成績)における
コスト(手数料)の重要性を、
モーニングスター自らが認めたということであります。


Smart&Responsibleの記事によりますと、

とくに、手数料の高いアクティブファンドは
ダウングレードが相次ぐと予想されており、

さらにはブローカー/エージェントを通して
販売されるアドバイジング料/販売手数料の設定のあるファンドの多くがダウングレードをされると予想されています。


なるほど・・。


ちょっとここで『クイズ』です。

1999年  0.87%
      ↓
2019年  0.45%


上記の数字(パーセント)はいったい何を示しているのでしょうか?

答え)

米国の投資信託、ETFの年間経費率(平均値)の推移。

20年でいかに低コスト化が進んだかが分かりますね。


そもそも投資信託のコストは、
あなたの利益から取られるものではありません。
あなたが保有する「ファンド資産」そのものからパーセントで徴収されます。

マーケットが上がろうが下がろうが、

いわば自分が持つ『商品』の一部を、
削り取って手数料として差し出しているわけです。

 



米国モーニングスターのような
投信格付け会社がファンド評価の際に手数料を重視することで、
わたしは投資信託全般のさらなる低コスト化が促されると思います。


続けて、
Smart&Responsible記事から。

面白いのは、もともと手数料の安かったファンドはもっともっと安くなり、手数料が高かったファンドは案外そのまま高めという傾向があることです。

投資家セグメントに二分があり、できるだけ低手数料を好むマジョリティの投資家と、高手数料を気にしないマイノリティの投資家とに分かれているということのようです。


ここで爽快なのは、
(あくまで米国の投信事情なのですが、)

筆者(Junko Iwasakiさん)が、
低手数料を好む投資家を「マジョリティ」と言い切っているところ。

日本でも、
高手数料を気にしない投資家は
すでに「マイノリティ」になっているのかもしれませんね。

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