毎月3万円のつみたて枠で、iDeCoに2.3万円振り向けてもいいの?
2020年8月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
埼玉県に住む佐藤マコトさん(仮名)です。
佐藤さんは29歳。
今あるご資産は・・?
銀行の普通預金に180万円です。
(佐藤さんはこれまで奨学金の返済を優先させてきました)
佐藤さんはここ最近、
お金のことを真剣に考えるようになりました。
今は毎月4万円程度、お金が残せる状況です。
(※ ここではボーナスはないものとします)
「カンさん、ある雑誌の特集で
iDeCo(個人型確定拠出年金)をやっていました。
いい制度ですよね!」
「わたしの場合、
月2.3万円の枠に当てはまるそうです。
さっそく申し込んで、毎月2.3万円積立てていっていいですよね?」
・・いいですよね?
あなたはどう思われますか?
(※ 佐藤さんは投資信託で運用するつもりです)
佐藤さんは独身です。
毎月の支出額は20万円強です。
『生活防衛資金』は180万円(普通預金)で十分と思われます。
(月の生活費の約9ヶ月分。)
< このお金は(当然、)投資には回しません >
では、毎月残る4万円のお金は?
全部つみたて投資でいい?
佐藤さんのひと言。
「ボクまだ若いですから!」
んー、佐藤さん、ちょっと落ち着いてみましょう。
4万円すべてを「つみたて投資」に回すと、
手元の預金も増えませんよ。
手元の安全資産を増やすことも重要ではないでしょうか?
(何事も『バランス』ですから!)
たとえば、月1万円はあえて「つみたて定期」する。
残り3万円を「つみたて投資」に回す。
『ホントにiDeCoに2.3万円回してもいいの?』
わたしはそうではないと思います。
たしかに
iDeCo(個人型確定拠出年金)の
『所得控除』のメリットは大きいです。
今後、佐藤さんの収入が順調に伸び、
毎月手元に残るお金も5万円、7万円、8万円と増えていきそうだ・・
そんな「順調な5年、10年後」を
強くイメージできるようであれば、
iDeCoで「2.3万円の枠」を目一杯使うのもアリかもしれません。
しかし、そうではないのなら、
くれぐれも無理をし過ぎないことです。
【通常のつみたて投資】0.7万円 というのはいかにもアンバランスです。
当面、佐藤さんの毎月の手取り収入が変わらないようであれば、
少なくとも、
【iDeCo】1.5万円
【通常つみたて】1.5万円くらいの『バランス』を求められたほうがよさそうです。
なぜなら、
【iDeCo】という窓口は特殊性を持つためです。
頭の中で全運用資産に占める、
iDeCoの運用割合が大きくなりすぎないよう、気を付けるべきでしょう。
〇 iDeCoには「脱退」という選択肢が基本ありません。
〇 iDeCoでは「60歳」になるまで自分のお金を引き出せません。
(全運用資産の中で)iDeCoの割合が高くなればなるほど、深刻になります。
あっ、わたしの意味合いは
「iDeCoをやらないほうがよい」ということでは決してありませんよ。
『リスク資産全体』において、
iDeCoだけが突出しないよう工夫すること。
賛否両論あると思いますが、
個人的には、米国(確定拠出年金)のように、
iDeCoも幾ばくかのペナルティー料を支払うことで
60歳以前に『引出し』を可能にするべきだと思います。
あくまで例外的に・・。
〇 関連記事
『iDeCo加入者のセーフティネットとして(例外的に)60歳以前の引き出しを認めるべきなのか?』
カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)