確定拠出年金(iDeCo・企業型)

iDeCo加入者のセーフティネットとして(例外的に)60歳以前の引き出しを認めるべきなのか?

2023年3月5日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

一度「基本」に戻ってみましょう。

資産形成の原資は
あなたの「定期収入」から賄われます。

毎月の『つみたて投資』が分かりやすい例でしょう。

 

もちろん、
個人型の確定拠出年金(iDeCo)の掛金もそうです。

 

iDeCo掛金が
月に1万円、1.5万円でも、

それはあなた自身が倹約を心掛け、
毎月のやり繰りの中でなんとか拠出しているお金なのです。

だから尊い。

 

 

 

 

特にiDeCoの場合、
わたしのような自営業者を想定して「制度」が作られています。

 

公的年金の見込額が少ない人のための『補充年金制度』として設計されているわけです。

 

 

ですから、
『NISA』のように
いつでも保有資産を引き出せたりすると、

制度の主旨そのものが崩れてしまいます。

 

現在iDeCoでは、
60歳以前に『お金は引き出せない』となっていますが、それは至極当然のことなのかもしれません。

 

 

いっぽう、
アメリカの確定拠出年金(401(k)プラン)では、保有資産の一部を引き出せる制度があります。

※401(k)プランも自身の収入から掛金を拠出するのが基本。
(プラス「マッチング拠出」によって別途掛金を出してくれる雇用主もいます)

 

 

 

 

ウォール・ストリート・ジャーナルの以下記事から拾ってみましょう。

 

 

 

 

401(k)プランの管轄は内国歳入庁(IRS)なのですが、

IRSは特定の『経済的困難』事項に当てはまれば、
ペナルティー料なしに
401(k)プランから中途で資金を引き出すことを認めています。

 

その「特定の経済的困難」とは?

 

上記WSJの記事によれば、

 

住居の差し押さえや立ち退きを防ぐため、医療費や葬儀代の支払いなど。
そのほか、主たる住宅の購入、大学の授業料の支払い、住宅の修繕費負担なども『経済的困難』の事由に含まれます。

 

 

 

それ以外の場合は、59歳半以前の資産の引き出しについては、
通常の課税に加え10%のペナルティ課税がなされます。

 

実際米国ではコロナ禍の中、
401(k)プランからの中途引き出しが増加しているようです。

 

 

資産運用会社バンガード・グループが運営する401kプランの加入者500万人のうち、

 

医療費・立ち退き・差し押さえなどの苦難に対処するために退職貯蓄に手を付けた人は、2022年は過去最高の2.8%だった。21年は2.1%、コロナ禍前の平均は約2%だった。

 

 

 

 

パンデミックは明らかに「非常事態」の状況と云えるでしょう。

実際にこのような状況下、自身の年金資産の一部を引き出すことで、一息つくことが出来た人は多数おられるはずです。

 

 

さて、ここからが本題です。

 

あなたは、
日本のiDeCo(個人型の確定拠出年金)でも、
経済的困難に陥った場合『例外的に』、自身の保有資産から資金の一部を引き出すことを認めるべきだと思いますか?

 

正直、この種の議論は
日本ではまだ芽生えてもいません。

 

 

 

 

しかしiDeCoも制度開始から22年が経ち、
加入者が270万人を超え、また一人あたりの保有資産額も増加し続けています。

加入者が500万~1000万人ベースになれば、
この種の議論が「課題」として浮かび上がってくるとわたしは考えます。

 

 

ゆくゆくはiDeCo(個人型確定拠出年金)にも
『セーフティネット』として、
例外的に、自身の資産の一部を引き出せる「救済措置制度」が作られてしかるべきではないでしょうか。

 

 

米国(401Kプラン)では、借り入れ(ローン)も認めているようですが、日本の場合そこまでする必要はないと思います。

 

〇 『参照記事』(フィデリティ投信)

【DCコラム Vol.11】コロナ禍におけるアメリカのDC加入者の対応(2020年第2四半期データから)

カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)

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