レモネード(Lemonade)は飲み物ではなく、米国の損害保険会社のことです
2020年7月20日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
たとえば、です。
すべてアプリで完結するしくみがあったら、あなたは利用したいと思いますか?
米国の損保会社『レモネード(Lemonade)』なら、
それが実現できます。
同社はAIなどのテクノロジーを駆使した新興の保険会社です。
Webサイトのトップページはこんな感じ。
キャッチコピーを読んでみましょう。
(当たり前だと思っていること)を全部忘れてみて!
Cool(クール)だと思いませんか?
論より証拠ということで、
わたしも『仮想見積り』をしてみました。
〇 名前を入力
〇 住所を入力(部屋番号まで)
(以下、質問に答えていきます)
・火災警報器は設置されていますか?
・ペットを飼っていますか?
・家財で高価なものはお持ちですか?
・現在、他の火災保険に入っていますか?
などの質問に答えていくと、
『ちょっと待ってくださいね・・』
という文字とともに、
物件の「特性」を
・建物の築年数
・建物の耐久性
・海岸からの距離 などの観点から、
『5つ星』で評価していきます。
そして、
最後に火災保険料が算出されます。
次いで家財、個人賠償責任の保険金額も出てきます。
レモネードについてウィキペディアから引用してみますと・・。
保険約款策定業務の大部分はAIチャットボットを利用した
コンピューター処理によって自動化されており人手は介在しない。
AIはリスク分析や保険プランの内容や価格設定にも用いられており
徹底したコストダウンを実現させている。
なるほど・・。
シンプルで洗練された仕組みであるため、
同社の顧客のうち、
はじめて保険を購入する人が27%以上を占めるのだそう。
(先日ご紹介した投資アプリ会社「ロビンフッド」と同じように、若者に熱狂的に支持されているようです。)
ちなみに、わたしの仮想見積りでは
火災保険料が月17ドルになりましたが、
平均保険料は月5.7ドル程度で、
米保険大手4社の平均17.8ドルよりも安いのだそう。
(こちらもウィキペディアより)
Lemonadeの火災保険のしくみを日本で実現することは?
もちろん可能でしょう。
が、Lemonadeは保険を直接販売する会社です。
日本の損保業界は数多の保険代理店で成り立っているため、
Lemonade型の保険サービスを目指すことは業界の「大」地殻変動を意味します。
しかしそれで得をするのは・・?
(もちろん)私たち消費者ですね。
今回わたしが感心したのは、
Lemonadeという会社が
保険サービスの概念をゼロから『デザインし直して』いるところ。
実はLemonadeでは、
保険金の支払いがなかった「保険料」を自社の利益としては受け取りません。
これら保険料の大半は『寄付』されます。
同社のユーザーは保険加入時に、
Lemonadeが提示する社会問題の中から
自身が『貢献したいテーマ』を選ぶことが出来ます。
(そしてそのテーマに関連する団体に「寄付」を行うことになるのです)
保険商品を購入することで
「補償をカバーする」と同時に、
「社会貢献(social good)」も実現できることになります。
プラス、保険料を「掛け捨て」にするという
あの「もったいない感」からも解放されますし・・。
いっぽうLemonade側は、
顧客が支払う保険料の一律20%を手数料として受け取る。
という簡潔なビジネスモデル。
考えてみますと、
金融は元々大きなマーケットであるのに、
同じ会社が長らく同じようなサービスのみを提供し、
多くの消費者から「胡散臭い」と煙たがられています。
イノベーションの宝庫でもあるわけです!
(ちなみに同社は2015年の設立。
この7月2日に
ニューヨーク証券取引所に上場したばかりです。)
カテゴリ:金融機関にモノ申す