『総口数の推移』こそ、ファンド評価のバロメーターです
2020年5月31日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託ってちょっと分かりづらいと言われます。
何が分かりづらいかというと、
投資信託の『時価』の計算方法が、です。
ファンドの値段(基準価格)は毎日変わりますので、
途中経過は忘れて「最新の価格」だけを気にしてください。
あとは、
これまで買ってきた『口数』の合計です。
(あなたがトータルで保有する口数です。)
20回に渡って『口数』を積み上げているはず。
もし、途中で投資信託を一部売ると?
そのぶん、あなたの口数は減ります。
つまり、
・基準価格は常に変わりますが、
・一度稼いだ口数は(売らない限り)減りません。
あなたの投資信託の『評価額』は?
【持っている口数】×【投資信託の価格】です。
「トータル口数」×「最新価格」なのです。
次にこの『トータルの口数』を
ちょっと拡大解釈してみましょう。
ABCファンドを保有する人が23,000人いるとします。
それらの人が【持っている口数】を全部合わせると、その投資信託の『総口数』となります。
23,000人を『総体』として見た場合、
ABCファンドを「売る人」もいれば、
積立てを通じて「買い増す人」もいますね。
『総口数』も上下するわけです。
ざっくりのイメージですが、
ファンドの「解約」のほうが「買い付け」よりも多いと、『総口数』は減ります。
逆に、
ファンドの「買い付け」のほうが「解約」より多いと、『総口数』は増えます。
『総口数』のアップダウンは、
ファンドへの純資金流入、純資金流出を表すわけです。
(具体例を挙げてみましょう。)
著名投信ブロガーのrennyさんは
長きにわたって、
『セゾン投信ウオッチ』という
継続記事を書かれています。
「セゾン投信ウオッチ2020年3月号」の記事はこちら。
rennyさんは記事内で
セゾン投信のふたつのファンド、
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドと
セゾン資産形成の達人ファンドの
『総口数』の推移を挙げられています。
これはぜひ元記事を見てみてください。
(受益権総口数という長~い表のところです!)
画像元:rennyの備忘録 (※一部引用です)
セゾン投信では、
なんと74ヶ月も資金の【純流入】が続いているのだそう。
『総口数』がコンスタントに増加しているということ。
= 資金の純流入の継続こそ、
ファンドがこの先長く元気で存在してくれるであろう、もっとも期待できる『物差し』ではないでしょうか?
あっもちろん、
ファンドの『純資産額』が増えることも重要ですよ。
(大事な物差しです)
しかし『純資産額』というものは
たとえ資金の【純流入】が続かなくても、
ファンド保有者から真に支持されているか否かは、『総口数の推移』を見ることではじめて分かるのです。
ぜひともモーニングスターさんあたりに、
ファンドの『総口数増加率のランキング』あるいは、
『総口数減少率ランキング』などの指標を作って欲しいなあと思います。
カテゴリ:投資信託あれこれ