株価下落が続く中、つみたて経験2年弱、運用資産100万円の鈴木さんへ。自分のリスク耐性を確認できる絶好の機会ですよ
2020年3月2日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
31歳の鈴木さんは
つみたて投資を始めてまだ2年弱。
今回はじめて本格的な下落相場を迎えました。
これまで積み上げてきたプラスのリターンは、
泡のように消えてしまい、とても戸惑っています。
が、鈴木さん・・。
投資家であれば
一時的な『損失』は誰しも経験することですよ。
ちょっとだけ発想の転換をしてみましょう。
書籍による単なる情報ではなく、
『生の体験』として市場の下落に見舞われること自体が、
(考えようによっては)
お金では買えない『貴重な経験』と云えるのでは・・。
できるだけ冷静に、
今、鈴木さんが『何を感じているのか』書き留めておきませんか?
そのメモは次回、
また市場の乱気流に見舞われた際にきっと役立つはずです。
ところで今、鈴木さんは
「先進国株式インデックス」のみに積み立てをされていますね。
(運用資産額は現在100万円ほど。)
お気持ち的に大丈夫ですか?
お仕事に影響が出たり、
夜寝つきが悪くなったりしていませんか?
これが運用資産500万円になったときに
(同じことが)起こっても平気でしょうか?
自分の許せる「リスクの範囲内」だと言えますか?
誤解がないように申し上げると、
これは『我慢比べ大会』ではなく、
鈴木さんが余裕を持って
マーケットの波に気を取られずに、
自らの投資スタイルを続けられる「リスクの振れ幅」とはどの程度なのかを知るためのご質問です。
自分がどの程度のリスク(価格の振れ幅)を許容できるかを知る『絶好の機会』なのです。
リスクを取り過ぎたと(正直)感じているなら、
つみたて先を
「株式インデックスファンド」ではなく、
株式50:債券50程度の
「インデックス型バランスファンド」に変えるのもひとつの選択肢です。
今まで積み上げた先進国株式インデックスファンドを
無理に売る必要はありません。
上記の例でいうと、
今後毎月「債券を半分」積み立て続けると、
トータルの運用資産内における債券の割合が
少しずつ少しずつ増えていくわけです。
次の具体例!)
鈴木さんが米国の投資の教科書 60/40 を旨に、
「先進国債券インデックス」40% で
積み立てをしていたら・・という例です。
鈴木さんは際限なく下落が続くせいで、
下記のように
つみたて金額の「配分」を変えたくなりました。
「先進国株式インデックス」20%
「先進国債券インデックス」80%
フム。
株式がずっと下がりっぱなしですからね。
でも、です。
これってもしかすると
⇒ そのつみたての割合を減らすという、
完全な「後追い行動」になっていないでしょうか?
「先進国株式インデックス」20%
「先進国債券インデックス」80% への変更は、
20/80 が
自分のリスク許容度に合った
『自分らしいポートフォリオだ!』と感じているわけではなく、
株式市場の急変を受け、半ば気分的に(かつ)一時的な気持ちで、ひとまず 20/80 にしておこうという「感覚」ではないでしょうか?
ちょっと深呼吸してみましょう。
「先進国株式インデックス」60%
「先進国債券インデックス」40% の配分割合が
自分が許せるリスクの範囲内かを再確認するべきです。
もし仮に「YES」であるなら、
「先進国株式インデックス」60%
「先進国債券インデックス」40% という毎月の配分比率に、固執してよいと思います。
「カンさん。違うんです。
わたし以下のように毎月の配分比率を変えたんです!」
「先進国株式インデックス」80%
「先進国債券インデックス」20% !
あっ、そうでしたか。
株式が大きく下がっているため、
株式の割合を増やされたいのですね。
理には適っています。
が・・・
この株式市場がさらに下げ続けても、
「先進国株式インデックス」80%
「先進国債券インデックス」20% の割合を維持できますか?
大きな変化が起こればまた、
掛金の「配分割合」を変えたくなるかもしれませんよ。
カウンセリング業務の中で思うこと。
それは、
『掛金の割合』を都度変えることで、
自分の気持ちを落ち着かせようとするお客様がたいへんに多いということです。
誤解を恐れずに言いますが、
ネット証券の通常口座で
(あるいはiDeCOで、)
(あるいはつみたてNISAで、)
毎月の掛金の「配分比率」を触り過ぎると、
変えることが『クセ』になってしまう可能性が大です。
それに(実は)
鈴木さんの運用資産全体(100万円)の今の姿は、
毎月の掛金の配分には現れてきません。
2年弱、
「先進国株式インデックス」60%
「先進国債券インデックス」40% で積み立てを続けてきたとしても、
今、積み上がっている資産(100万円)では
おそらく、
「先進国債券インデックス」50%
くらいになっているはず・・。
これが、今の鈴木さんの姿なのです。
まとまった資産ベースで
ほんらいのポートフォリオからズレが起こっていたら、
まとまった資産ベースで
元の割合に戻す作業『リ・バランス』が必要になります。
運用資産が
200万円、300万円と増えてくると実感できると思いますが、
毎月の掛金の配分を変えるだけでは、
資産の割合を元に戻す『リ・バランス』はきつくなってくるのです。
「先進国株式インデックス」60%
「先進国債券インデックス」40% が
仮に自分が許せるリスクの範囲内なら、
毎月の掛金の「配分比率」は【固定】しておいてよいのです。
それからもうひとつ。
急落が続く局面では、
マネー全般について『総点検』をする良い機会でもあります。
もし、毎月の貯蓄を犠牲にして、
全力でつみたて投資に回していたのなら、
つみたて投資の掛金を
減らすことも一考してみましょう。
これを機会に、
毎月の「貯蓄」と「投資」の割合、
トータル資産における、
「貯蓄」と「投資」の割合を再点検してみましょう。
(もしかすると、過大なリスクを取ってしまっているかもしれません。)
もちろん投資においても、
〇 あなたが許せるリスクの大きさを知り、
それに基づいた運用の基本図(ポートフォリオ)を作って
あと、昨日「医療保険」のお話をしましたが、
保険など無駄な支出を省くことでも
手元に残るお金は増やせますね。
資産運用は息が長い行いであり、
『走りながら考える』行為です。
ですので、途中で軌道修正が何度かあって普通なのです。
お知らせ)
3月のカウンセリングは
『ポートフォリオ点検!強化月間』
今回のコロナショックは
あなたのリスク許容度をチェックし、
シンプルで継続しやすい運用ポリシーを作り上げる絶好の機会となります。
(スカイプでの面談も歓迎!)