やっぱり投資信託は発明品?
2019年11月3日
こんにちは。
投資信託クリニック代表の カン・チュンド です。
ロンドンで
雑貨屋を営むウィルソンさんは
独りため息をつきました。
とても手が出せないや。」
実はウィルソンさんは
有価証券の売買ができる
『ハーバーズクラブ』に行って、
お店の人に次の事実を叩きつけられたのです。
(日本円のイメージで)
800万円くらいしますよ。
ニューサウスウェールズ州の債券は
(日本円のイメージで) 500万円くらいしますよ。
上記債券などは
10年満期で利回りが5%あり、
とても魅力的に感じたのですが・・。
あっ、ごめんなさい、
これ「現在の話」ではありません。
投資信託が発明される前は、
ほんとうに、
すべての投資家は
個別の株式や個別の債券に
投資するしか術(すべ)がありませんでした。
おまけに、
ウィルソンさんが言う通り、
商品の「単価」が恐ろしく高く、
資産家でもない限り、
市民には手が出せる代物ではなかったのです。
そこで登場したのが『投資信託』。
1868年に、
世界最初の投資信託
「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」がお目見えします。
以下は1871年、
3度目の募集時の
「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」の
有価証券といわれています(画像元:the saleroom)
この投資信託は、
いわゆる『外国債券ファンド』であり、
〇 さまざまな国の、
〇 さまざまなタイプの債券に分けて投資ができるため、
当時のイギリス人に
好意的に迎え入れられたようです。
ところで、
この投資信託とやら、
瞬く間に世界中に広がったかというと、
実は、ぜんぜんそうはなりませんでした(残念。)
Vanguard Blogの
こちらの記事によりますと、
1950年時点のアメリカでさえ、
全人口の
たった4.2%だけが、
株式市場にお金を投じていたのだとか・・。
(「投資」自体が
ふつうの市民にはまだまだ縁遠い存在だったのです。)
しかも、投資家のほとんどは
直接「個別株」を買っており、平均的な投資家でも
「2銘柄」程度のみの保有で、
投資家のうち半分は
「たった1銘柄」だけの保有であったと
上記記事は伝えています。
1950年時点では
「分散投資?それなーに?」
という状態だったのですね。
当時、投資信託は
歴然と存在しているにも関わらず、
記事によると、
一般的な世帯ではほぼ
どんな役割も担っていない、影の薄い存在だったのです。
投資信託が
生活者の間で知られる道具となったのは
ようやく1980年代半ばのことでした。
ここから一気に広がったとしても、
たかだか40年足らずの出来事なのです。
したがって、
投資信託の正しい「買い方」「使い方」が
まだ習得できていないとしてもある意味致し方ないこと。
また、投資信託という道具を、
資産運用の方法論の中に
うまく当てはめられていないのも、半ば仕方のないことなのです・・。
「お豆腐」の歴史に比べたら、
「投資信託」など、まだまだ生まれたばかりなのでしょう。
カテゴリ:投資信託あれこれ