投資信託のよくある誤解(ファンド価格と純資産額の関係)
2025年3月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託の純資産額とは?
ファンドの「大きさ」を示すもの。
投資信託の基準価格とは?
ファンドの「成績」を示すもの。
※ここでは「分配金」はないものとします。
ファンドの純資産額と基準価格は
必ずしも『連動』するものではありません。
両者は、異なる『物差し』なのです。
投資信託の純資産額が増加しても、
基準価格(ファンド価格)が下落するケースもあります。
逆にファンドの純資産額が減少していても、
基準価格(ファンド価格)は上昇するケースもあります。
両者は、違う『物差し』であるためです。
まずは「純資産額」から覗いてみましょう。
純資産額は
ファンドの「規模」を示す指標です。
純資産額は
ふたつの要因によって上下します。
2.ファンドが内包する銘柄(株式)の価格上昇・価格下落
※株式ファンドのイメージです。
純資産額の増減というのは、
1プラス2 の要因で起こるものなのです。
単純な仮例を挙げましょう。
1.資金の流入・流出が一切なくても、
2.ファンドが内包する銘柄(株式)の価格が上昇すれば、そのぶん純資産額は増えます(逆もしかり)。
2.ファンドが内包する銘柄(株式)の価格がいっさい変わらなくても、
1.ファンドへ純資金流入があれば、そのぶん純資産額は増えます(逆もしかり)。
さらに深堀りします。
たとえば、
2.ファンドが内包する株式の価格が下がってしまう。
これは純資産額が減る一因です。
しかし、それ以上に
資金の『純流入』が大きければ、
ファンドの純資産額が増えることもあります。
逆に、
2.ファンドが内包する株式の価格が上がっても、
それ以上に
資金の『純流出』が起これば、
ファンドの純資産額が減ることもあります。
その投資信託から
外に出ていくお金(解約された金額ベース)より、
その投資信託に
入ってくるお金(ファンドを購入した金額ベース)の方が多いと、『純流入』状態となります。
(純資産額が増える一因)。
逆に、
ファンドの外に出るお金(解約された金額)のほうが、
ファンドに入ってくるお金(ファンドを購入した金額)より大きい場合は『純流出』の状態です(純資産額が減る一因)。
次に、「ファンド価格」(基準価格)に話を移しましょう。
あなたが株式ファンドを保持する場合、
単純に
ファンドが組み入れる銘柄(株式)の価格が上昇すれば、ファンド価格が上がる。
(逆の場合はファンド価格が下がる)と思われがちですが、
外国株式ファンドの場合、
ファンド価格の上げ・下げの要因がもうひとつ加わることになります。
たとえば、
あなたが『オルカン』をお持ちの人としましょう。
オルカンとは
「全世界株式インデックスファンド」ですから、
日本株+先進国株+新興国株という、
株式たちが総じて上昇していれば、ファンド価格も上がると思ってしまいがち。
画像元)三菱UFJアセットマネジメント
上記でお分かりの通り、
1月度の『オルカン』は、
日本株式、先進国株式、新興国株式とも上昇したにも関わらず、
「円高」が進み、
為替差損が膨らんだため、
為替のマイナス分が、そんなに違わなかった。
このように、
純資産額の増減の要因、ファンド価格の上下の要因には複数の因子が絡みます。
カテゴリ:投資信託あれこれ