金融機関にダメ出しする勇気を忘れずに
2025年1月18日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あえて厳しめに申し上げます。
たとえば、
(その)金融商品のニーズが「ない」層の消費者に向けて、(その)金融商品を高らかに「売ろう」とする姿勢って、いかがなものでしょうか。
これは長年、
『金融業界』が得意としてきた所作でもあります。
以下、ほんの一例です。
『はなさく定期』という
定期保険があります。
このCM動画を見つけて
わたしは思わず苦笑してしまいました。
果たして60歳以上の人に必要なのでしょうか?
※定期保険は一定期間の死亡保障を買う商品。
動画ではわざわざ「お孫さん」を登場させ、
「おばあちゃん、正解の保険料は・・」と呼び掛けています。
画像元:はなさく生命CM
少し乱暴な言い方をすれば、
その商品のニーズがある「層」だけでなく、
その商品のニーズがない「層」にも大々的に販売してはじめて、大きな収益が得られるという、金融業界古来の「ビジネスモデル」を踏襲しているのではないでしょうか。
証券業界も(構造は)よく似ています。
野村證券や大和証券の、
顧客の平均年齢は公表されていませんが、
65歳を超えていると推察されます。
たとえば、
抽出された一顧客の具体像として、
68歳の人に、
果たして資産運用というニーズは、切迫感をもって溢れているのでしょうか?
むしろ資産運用が必要なのは、
現役世代で
まだ多くの資産を持たない人々では?
金融業界、
あるいは金融商品と接する際に、
あちら側がほのかに思い描く「収益のモデル」を類推するくらいの、オトナの知見を、私たち消費者側は持つ必要があるのかもしれません。
繰り返しですが、
証券業界も生保業界も、
あるいは不動産業界も、
(その)金融商品を「熱心に」売ってきた歴史を持ちます。
そういう事実を
私たち消費者は、知っておいて損はありません。
真逆の視点から見れば、
私たち消費者の側が
知り合い、友人、知人、家族の間で
「お金」に関するリテラシーを
【情報共有】して来なかったために、
正しい知識・考え方が
四方八方に広がらず、
金融商品(不動産含む)の売り方全般において、
金融機関側に『あこぎな商売』を許してきた経緯があります。
私たち消費者側の、怠慢でもあるわけです。
あなたやわたしが、
友だちや、
会社の同僚や、知り合いに、
あるいはSNS上で良識をもって、
・実は投資信託ってけいぞく的に手数料がかかるんだよ
・保険商品は、途中で解約しにくく、かつペナルティー料も取られるんだよ
・不動産を売るときに、
買い手の探索も(同じ不動産会社に任せちゃうと)利益相反になりやすいよ
みたいな『知』の共有を
意識して・続けていくことが、
最終的には
金融機関側のサービス向上に【寄与】するということを知るべきでしょう。
誤解を恐れずにいえば、
私たちユーザーの側、なのです。
大手金融機関は長らく、
私たち消費者が
〇金融に対して【無知】である(情報の非対称性)
〇金融に対する知見を
消費者側で【共有】しない(情報の孤立性)
ことを利用して、
高報酬型の投資商品を量産してきました。
そのような「あこぎな商売」は
かつての勢いを失いつつありますが、
金融機関の安易な振る舞いに対しては
いつでも『ダメ出し』する勇気を持っておきましょう。
カテゴリ:金融機関にモノ申す