人が減っていく未来
2025年1月14日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
本当は
人間の営みの根底部分に影響することなのに、
その変化があまりにも「ゆっくり」であるために、大きな旋回の様子に私たちは気付かないフリをしてしまう・・。
そんなことが時々あります。
国連広報センターによれば、
今世紀中に「世界人口」はピークアウトするようです。
国連広報センター
上記ニュースはもしかすると、
昨年(2024年)もっとも重要だったニュースかもしれません。
世界の人口は、今後60年間で増加し、
2024年の82億人から2080年代半ばには103億人でピークに達する見込みです。
(中略)
2100年の世界の人口規模は、10年前の推計より6%、人口にして7億人減少すると見込まれます。
国連広報センター
『世界の人口は今世紀中にピークを迎える、と国連が予測』より。
世界の人口が
およそ60年後にはピークに達し、その後逓減する・・・。
つまり、
人間という種の「生存数」は
遠からず上限に達し、
(もう)それ以上は増えないだろうと言っているのです。
これは・・
人類にとって『大転換』となるのでは?
では(そもそも)
なぜ人口がピークアウトするのか?
ヒトが以前に比べて
明らかに少なく子どもを持とうとしているためです。
人口を維持できる水準である「出生率2.1」を下回っています。
あのインドでさえ、
「出生率2.1」を下回る現状は衝撃的でさえあります。
(その一方で
ナイジェリア、パキスタン、ソマリアなどの国々では今後も人口増加が続きます。)
ヒトが少なく子どもを持とうとするのは、
乳幼児の死亡率が激減したこと、
また人の平均寿命が延び続けていることも関係しているでしょう。
『少子化』が進むのはなぜかといえば、
諸説あると思いますが、
人類の『経済発展』の結果だと思っています。
あるいは生物学的に見れば、
ヒトが以前ほど
積極的に子どもを望まないのは
「種」として自らの生存数を調整し、
長く生き延びるための『防衛反応』であるのかもしれません。
資源は早晩枯渇し、
ヒトは滅亡の道を突き進んでしまうためです。
なんだか話のスケールが大きくなり過ぎました。
時を戻しましょう。
人口がピークアウトすることの
もうひとつの側面に『高齢化』があります。
2050年までに
世界人口の6人に1人は「65歳以上」になります。
ヒトは急速に
世界のあちこちで老いていくわけです。
一個人のレベルで見れば、
世界の人口が減っても、
少子化が進んでも
高齢化が加速しても、
別に「関係ないじゃん」と思ってしまいがちですが、
国家にとっては一大事です。
特に労働人口の減少は『税収』の減少につながります。
社会保障関連費という『費用』の増加につながります。
ざっくり言ってしまえば、
100年後には
世界中で『日本化』が進むわけです。
また、由々しき問題は
「資産運用」においても発生します。
経済成長とは
「人口」×「一人あたりの生産性」のことであり、
これまで何百年と、
『世界人口』が増加し続けてきたおかげで、
(並行して起こった連続的なイノベーションも相まって、)
資本市場はその規模が拡大を続けてきたわけです。
60年後、70年後、
世界人口がピークアウトする時、
経済の成長を前提に
リスク資産を積み上げてきた『投資』という行いの、本源的な見直しを強いられるかもしれません。
いや、それ以前に、
人口が逓減をし始めるということは、
『経済成長』を前提に歩んできた、
私たちの社会のあり様を、
修正していく「きっかけ」になるのかもしれません。
文化人類学者 レヴィ=ストロースは
著作の中で
次のようなことばを残しています。
世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。
カテゴリ:経済よもやま話