投資の発想法, 投資信託あれこれ

あなたに最も心地よい投資信託とは?(標準偏差から「やさしい順番」をひも解く)

2025年1月7日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

投資を始めた当初は
(その投資商品の)リターンの『数字』に目が行きがちになります。

誰しも小さな儲けより
大きな儲けに魅力を感じるものです。

 

が、大きな収益(リターン)というのは、
大きなリスクと『セット』で付いてきます。

 

これは物事の理(ことわり)です。

 

 

「なに? この投資信託の成績、すごくいいじゃない!?」

 

という、目に見えてよい結果リターンがそこに存在すれば、

 

それは、
大きなリスクに全身を晒さした結果、得られたものに他なりません。

 

※リスクが可視化されていなくても、背後に、あるいは水面下に『リスク』は存在しています

 

 

 

 

 

ハイリスクという重しを負っているから、
ハイリターンという報酬が付いてくる。

(逆に小さなリターンという成果は、
小さなリスクを背負った結果なのです。)

 

資産運用の世界では
『リスク』を明確に規定しています。

 

リスクとは、
価格変動の振れ幅の大きさのことです。

 

 

投資信託でいうと、

ファンド価格のブレる度合いが大きい=リスクが大きい、と云います。

(ファンド価格のブレる度合いが小さい=リスクが小さい、ということ)

 

ココ、大事ですね。

 

 

 

 

 

運用の現場では、
『標準偏差』という名の物差しを用いて、

 

各ファンドごとに、
ファンド価格のブレる「大きさ」を
誰もが客観理解できる『数字』(%)として示しています。

 

・・〇△ファンド 『標準偏差』11% とか。

 

 

ウエルスアドバイザーを使って実際見てみましょう。

 

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)オルカン

 

 

 

 

画像元:ウエルスアドバイザー

 

セゾン・グローバルバランスファンド

 

 

 

画像元:ウエルスアドバイザー

 

 

eMAXIS Slim先進国債券インデックス

 

 

 

画像元:ウエルスアドバイザー

 

 

価格のブレる大きさの『度合い』が、違うことが分かります。

 

 

価格の振れる幅=リスクの大きさが『小さく』、トータルリターンのみが突出して『高い』ということは、当然ですが、あり得ません。

 

資産運用の世界では
パラダイス(天国)は存在しないのです。

 

 

このように、

価格変動の大きさが異なる、さまざまな投資信託があるのだと(まずは)知ることが、これから先、賢く、長続きする投資家になるために必須ではないでしょうか。

 

繰り返しですが、

 

(投資商品について)
過去の結果リターンのみを見て、その優劣を推し量るのは、上ばかりを見上げて、地面に注意を払わず歩くようなものです。

 

 

 

 

 

あなたに最も心地よい投資信託を選ぶコツは、

自分が許せる、
ファンド価格のブレ幅(=リスクの大きさ)を知ることではないでしょうか。

 

市場(マーケット)は好調なときばかりではありません。

しばしば『急落』します。

 

それは数字的に言えば、

ファンド価格がブレる度合い(標準偏差)分ではなく、

(標準偏差)×2倍 程度、
ファンド価格は下がり得る。という理解が、より現実に近い解となります。

 

 

すなわち、

 

オルカン

 

画像元:ウエルスアドバイザー

 

 

セゾン・グローバルバランスファンド

 

画像元:ウエルスアドバイザー

 

 

スリム先進国債券

 

画像元:ウエルスアドバイザー

 

 

ですから、

 

『オルカン』では、
マイナス32%程度

『セゾン・グローバルバランスファンド』では
マイナス20%程度

『スリム先進国債券インデックス』では
マイナス13%程度、

 

あなた自身の成績が『下がる』ことは、ときどき起こると思っておいたほうがよいでしょう。

 

※わたしの経験値でいう「時々(ときどき)」とは、3~5年に1度のイメージです。

 

 

 

 

 

YouTube動画を観て、

 

オルカンというのが良いらしいので、それにしよう!

 

という選択の仕方は、あまりにも安易です。

 

当然ですが、

 

資産運用という行為は『リスク』を知ることから始まるのです。

 

 

もちろん、上例でいえば、やさしい順番(=リスクが小さい順番)は、先進国債券インデックス、セゾン・グローバルバランスファンド、オルカンの順となります。

 

 

これは弊所のお客様の例ですが、

頑張って「オルカン」を選んだものの、
ファンド価格のブレる大きさに息をのんで思考停止に陥り、

 

では、

株式50:債券50のバランスファンドや
債券ファンドに、

そこから『切り換え』が出来るかといえば、それはなかなかに難しいことなのです。

 

 

 

 

 

逆に、
当初「債券ファンド」や「株式50:債券50のバランスファンド」で積立投資を始めて、時間の経過とともに、

もしも『リスク耐性』が少しずつ高まってくれば、

 

たとえば「オルカン」に切り換えるという、

 

つまり、
ステップダウンではなく、

 

『ステップアップ』の長期の見取り図で、
自身の資産運用を捉えることが重要ではないでしょうか。

 

 

一度、ウエルスアドバイザーあなたがお持ちのファンドを検索してみてください。

 

5年(年率)10年(年率)の『標準偏差』の数字を確認してみましょう。

 

そしてそれを ×2倍 してみましょう。

 

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