60歳を過ぎたら、生命保険(資産)の 転用 を考えよう
2025年1月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
むかし保険会社の人と話をしていて、
「カンさん。終身保険は資産になりますよ」と言われたことがあります。
(資産の合理性そのものについては)
いったん棚に上げるとして、
たしかに
『終身保険』という商品を持てば、
それは換金可能という点で立派に「資産」でしょう。
ここからが本題ですが、
あなたが60歳を過ぎていて、
『終身保険』の保険料の払い込みがもうすぐ終わるよ。と告げられたら、その資産(商品)をどうするべきか、真剣に考えたほうが良さそうです。
なぜなら、
『終身保険』という商品の、「効用」が現れるまでずっと待っていると、それはすなわち『あなたの死』になってしまうためです。
例えばこんな具体例)
『死亡保険金』1000万円
受取人は配偶者
あなた自身(被保険者)は、上記1000万円は受け取れません。
「カンさん。
何当たり前のこと言ってるんですか。
パートナーにまとまったお金を遺せるわけですから、それでいいではないですか!」
あっ、ハイ。
でも、です。
ご資産ってほかにもお持ちですよね。
現預金もあれば、
企業型DCもあったり、
NISAで投資信託を積み立てていたり、ご自宅もあります。
あくまで仮の例ですが、
あなたがもしも長生きして90歳で死去して、
パートナーがそのとき88歳で、
繰り返しですが、
『死亡保険金』はあなたが死なないと下りて来ないお金なのです。
『終身保険』という資産を生かすためには・・、
仮に65歳で保険料の払い込みが終わるなら、
65歳から、「年金形式」で自分の資産を受け取り始めたほうが得策ではないでしょうか。
あなたもパートナーも
元気なうちに
楽しく『お金』が使えますから。
たとえ年金の総受取額が
860万円位にしかならなくても、
(上例の死亡保険金1000万円の場合)
お金の価値というのは
それを楽しく使えるかにかかっているので、
ぜんぜん「損」に思う必要はありません。
『終身保険』という資産を生かすためには・・、
老後の生活に入る時って、
人生の『転換期』であるわけです。
なんと言いますか、
気持ちも新たに、
一度身の回りのこともスッキリ整理し直して、
リタイア生活に入っていくわけです。
例えば、
(老後の生活に入るのを機に)
『ゼロ』にしたい。
家の『リフォーム』をまとめてしてしまいたい。
というような、
具体的なニーズ(=まとまったお金が必要なニーズ)がある場合に、
まずは退職金を使うより、
投資信託を売却するより、
あなたがお持ちの『終身保険』を解約して、そのお金を使えば(それは)立派に「生きたお金」になるでしょう。
・上例のようなまとまったお金のニーズに
まず「退職金」で応えてしまうと、
トータル資産に占める『リスク資産』の比率がけっこう上がる可能性があります。
・上例のようなまとまったお金のニーズに
まず「投資信託」で応えてしまうと、
(より長期で持っていれば)より高いリターンが得られたかもしれないポテンシャル(潜在可能性)を、逸してしまうことに繋がります。
もちろん、
〇クルマが好きな人は
車の買い替えに(終身保険の解約返戻金を)充てても構いません。
〇お孫さんの留学費用に充てても構いません。
〇海外での長期滞在費用に充てても構いません。
そういえば、
ライフネット生命を創業した出口治明さんの著書に、以下のような一文がありました。
僕が日本生命のロンドン現地法人で働いていた頃、
ロンドンの人たちは子供が巣立ったらみんな生命保険をやめて、そのお金をパブで使ったりしていました。
繰り返しですが、
『死亡保険金』はあなたが死なないと下りて来ないお金なのです。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し