投資信託は世につれ、世は投資信託につれ。
2024年12月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
昔から
「歌は世につれ世は歌につれ。」と云います。
わたしは長年「ファンド」を見続ける中で、
『投資信託は世につれ、世は投資信託につれ。』と実感しています。
200数十年の株式市場を振り返れば、
当初は(投資対象は)個別株式のみ。
↓
その後、投資信託(アクティブファンド)が登場
↓
ついに、投資信託(インデックスファンド)も登場
という『歴史』を持ちます。
個別株を自ら選んでもOKだし、
(個別株をパッケージ化した)投資信託も選べるよ。
という「多層性」が担保される投資環境は、
実は、株式市場の歴史の
『後半』になってようやく整備されてきたのです。
株式市場は時に大きくアップダウンします。
そのたびに投資家のセンチメント(感情)も大きく揺れ、その結果、提供される投資信託のタイプも変遷してきました。
2000年~2003年にかけては、
あちらを見ても、
こちらを見ても、
下落相場が続くのみの暗い『株式マーケット』でした。
そんな時、
運用会社は商魂たくましく、
『元本確保型ファンド』なるものを相次いで設定しました。
「5年や10年持ち続ければ、この投資信託は元本割れにはならないんですよ!」というセールストークが展開されました。
もちろん、
リスクを過剰に抑えることは、
その分、プラスのリターンの可能性も消えてしまうことなのですが・・。
時は移って2024年年末です。
NISA制度のスタートもあり、
多くの個人投資家が「投資信託」(特にインデックスファンド)に殺到しています。
もう一度、復習ですが、
200数十年の株式市場の変遷では、
↓
投資信託(アクティブファンド)が登場
↓
投資信託(インデックスファンド)も登場
という移り変わりを経ています。
今、
日本でも北米でも欧州でも、
その他新興国の国々でも、
どうしてフツーの市民レベルにまで「投資」が普及してきているかというと、『投資信託』というツールが定着したおかげです。
※市民投資家にとっての投資の王道は投資信託なのです。
個別株だと、
特定の、
具体的な投資対象(一社の株式)を選び切らないといけません。
もちろん当たればハイリターンですが、
外れる(倒産など)とゼロに帰してしまう、
トライできる人は極めて限られるわけです。
当初(投資対象は)個別株式のみ。
↓
投資信託(アクティブファンド)が登場
↓
投資信託(インデックスファンド)も登場
というメガトレンドの変化は、
そっくりそのまま、
リスクもなるだけ分散させ抑えたいよ。
投資家の心情、潜在ニーズの表れでもあります。
ところが、
『投資信託は世につれ、世は投資信託につれ。』です。
過剰流動性を付した相場が
新型コロナウイルス後に始まり、
株式市場が活況を呈する中、
個人投資家の「リスク許容度」がどんどん高まっています。
かつて、
徹底した分散を追い求め、
インデックスファンドにまでたどり着いたのに、
個別株「選び」的に貪欲になっていると感じるのはわたしだけでしょうか。
『バランスファンド』(例:株式50 債券50)より、
『オルカン』(全世界株式インデックスファンド)
『オルカン』より
『S&P500』
『S&P500』より
『ナスダック100』
『ナスダック100』より
『iFreeNEXT FANG+インデックス』(保有銘柄10)
いやいや、
『iFreeNEXT FANG+インデックス』
よりも、
『米国大型テクノロジー株式ファンド』(愛称:マグニフィセント・セブン)(保有銘柄7)だ。
みたいに。
リスク選好度が(知らず知らずのうちに)高くなっていませんか?
投資信託の本質を忘れ、
(ファンドという名ではあるが、)個別株投資に限りなく近づいている現状を憂慮すべきではないでしょうか。
追記)
アップル、エヌビディア、マイクロソフトを1/3ずつ保有する『テック御三家ファンド』なんて、まさか登場しないでしょうね・・。
カテゴリ:投資信託あれこれ