投資信託あれこれ

投資信託が誕生したのは(ある意味)必然でした

2024年10月8日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

19世紀の中頃、
ロンドン証券取引所では
『債券』がひとつの銘柄として上場していました。

 

たとえば、ですが、

イギリス人から見た「外国の債券」でいえば、
こんな『銘柄たち』が上場していたのです。

※わざと外国債券に限っています。

 

 

 

 

スペインやポルトガルは
当時すでに成熟国(=低金利)で、
債券の利率も低かったのですね。

ニューサウスウェールズ債は、
当時まだイギリスの植民地だったオーストラリアの植民地州債です。

 

またノバスコシア債とはカナダの州債のこと。

エジプト鉄道ローンは、
鉄道敷設のための「プロジェクト債」のようなものだったと推察します。

 

 

投資家は
ロンドン証券取引所に上場する
さまざまな「債券」の中から、

 

自分の意思で投資対象を選ぶことができました。

 

 

「債券」が上場していると、
不完全ながらも

売値(買値)の気配が付き、
公平に認知できる『価格』が付きます。

 

これによって
資産の「流動性」がある程度保たれたと推察します。

 

 

つまり、
個人投資家に必須の
第一段階の『マーケット条件』はクリアしていたわけです。

 

えっ、
第一段階って?

 

 

個人投資家が、

〇単独の銘柄(株式など)を
誰の目から見ても公正な『価格』で売買できる。

 

 

じゃあ、
第二段階の『マーケット条件』ってなに?

 

第二段階の『マーケット条件』とは、

 

個人投資家が、

〇単独の銘柄(株式など)を
誰の目から見ても公正な『価格』で売買できる。

かつ、

〇それら単独の銘柄(株式など)を
『パッケージ化』した商品にもアクセスできる。

そんな証券市場を指します。

 

 

具体的に掘り下げてみましょう。

 

個別の債券のみ、
個別の株式のみが「投資商品」であったとしても、特段大きな問題があるわけではありません。

 

しかし、
そのようなマーケット環境で投資家になれる人は、

人口の中で
きわめて限られた「比率」に留まったことでしょう。

 

 

 

 

 

個別銘柄のみが投資対象だと、

 

ある程度資本力のある人、
かつ、
リスク選好度が高い人しか、投資に参加できません。

 

 

あなたもわたしも承知の通り、

「個別銘柄」への投資では
どうしてもリスクが偏ってしまうのです。

 

※特に19世紀という世情を思い起こせば、究極のハイ・アンド・ロー的な投資になり得たはずです。

 

 

そう考えますと、

投資信託の誕生は、
まさに『時代の要請』であったと推察できます。

 

実は、
冒頭ご紹介した、
ロンドン証券取引所に上場する「債券銘柄たち」は、

 

 

 

 

イギリスで設定された世界初の投資信託、

『フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト』に組み込まれた、(イギリス人から見た場合の)外国債券たち、なのです。

 

当該投資信託は、
1868年に設定されました。
※明治維新の年ですね。

 

 

個別の銘柄をたくさん集めて
パッケージ化した投資商品を創ろう。

 

そんな機運が生まれていたわけです。

 

 

「The Foreign and Colonial Government Trust」

 

〇この投資信託は、
各国の政府債(国債)および
政府保証債18銘柄に分散投資されました。

〇この投資信託は
2%程度の手数料を徴収しました。

 

〇この投資信託は平均
6%程度の利回りが期待できました。

〇また、この投資信託では、
ひとつの銘柄に対する投資金額の制限も設けられていました。

 

こんにちの↑銘柄分散の細かいルール付けがすでに為されていたわけです。

 

 

 

 

 

この新たなタイプの投資商品
『フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト』は、
商品提供側の思惑を超えて、

広範囲に、
特に
今まで投資をしたことがない人たちに好意的に受け入れられました。

 

ひと言でいうと、

 

へえ~、こういう商品だったら、
ちょっと買ってみるのアリかも。

 

と思わせたわけです。

 

 

 

 

 

これまで(投資なんて)自分には関係がない。と思っていた人たちに、

こういう商品だったら、
ちょっと買ってみるのもアリかも。

と思わせたこの道具は、投資の大衆化を先導する旗振り役となりました。

 

昔も今も、
「分散してくれるから投資が出来るよ」という人は、山のようにいるのです。
(わたしもそのうちの一人です)

 

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